ラグビー日本代表のFB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)が、世界最高峰リーグ「スーパーラグビー(SR)」のレッズ(オーストラリア)でプレーすることで合意した。3日、関係者への取材で分かった。海外クラブへの選手登録は自身初。W杯イングランド大会でドリームチーム(ベストフィフティーン)に選ばれた世界最高FBが、今季トップリーグ終了後に活躍の場を世界に広げる。

 今日4日にもSRレッズの「GOROUMARU」が誕生する。W杯後に獲得オファーが届いた五郎丸はレッズでプレーする意向を固めた。W杯で日本初となる3勝の立役者。日本人通算得点を更新した58得点は、1次リーグで2位。PG13本は1位。ベストフィフティーン選出が決まった2日のトップリーグ開幕会見後には「世界と戦えることは分かりましたし、手応えも感じた」と自信の表情で話していた。国内シーズン終了後の2月にオーストラリアに渡る。

 これまでは「エディー(日本代表ヘッドコーチ)の近くで得るものが大きい」と海外挑戦を自粛し、国内クラブで地力を養ってきた。W杯帰国時には「国内でも目の前のことをしっかりやっていれば通用することを示せた」と言い切った。13年にSH田中とフッカー堀江(ともにパナソニック)の日本人選手がスーパーラグビー初参戦した。今ではリーチ(東芝)、松島(サントリー)ら多くの日本代表選手も経験。五郎丸も「いつかは世界でやってみたい気持ちがあった」と、ヤマハで始動した先月26日には、すでに前向きだった。

 世界最高FBの称号を得た五郎丸にとっては挑戦ではなく、世界最高峰でのステップアップとなる。レッズではW杯準優勝メンバーのSOクーパー、SHゲニアらとBK陣の核として期待される。FW陣も代表クラスがズラリ。ルーティンにも注目が集まったキッカーの役割が与えられることも確実だ。4月23日には日本代表を率いてきたジョーンズHCが就任したストーマーズ(南アフリカ)と対戦。5月21日には今季から参戦する日本チーム「サンウルブズ」とも戦う。日本だけでなく世界のラグビーファンの楽しみが、また1つ増えた。

 ◆五郎丸歩(ごろうまる・あゆむ)1986年(昭61)3月1日、福岡市生まれ。3歳でラグビーを始め、小4からはサッカーも。福岡老司中時代はクラブチーム筑紫丘RCジュニアでラグビー、部活がサッカー。佐賀工高時代は3年連続花園出場。早大では1年からスタメンで、大学選手権3度制覇。ヤマハ発動機では、昨季の日本選手権で優勝。日本代表57キャップ。185センチ、99キロ。

 ◆クイーンズランド・レッズ オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベンのサンコープ・スタジアムを本拠地とするラグビークラブ。州内クラブからの選抜チームが前身。スーパー12が始まり、クラブと選手が契約する形の現在のレッズが誕生した96年が創設年とされる。スーパーラグビーでは初年度の11年に優勝。日本代表ツイ・ヘンドリックが昨季からプレー。

 ◆スーパーラグビー 南半球の強豪国、ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカに拠点を置くチームが争う世界最高峰リーグ。96年に12チームで始まり、06年14チーム、11年15チームに拡大。16年からは日本を拠点とした「サンウルブズ」や、アルゼンチンのチームなどが新規参入、18チームの構成となる。日本は来年2月27日に東京・秩父宮ラグビー場で行われるライオンズ戦でホーム開幕を迎える。7月15日まで15試合を戦い、プレーオフ進出を目指す。日本人では13年に田中史朗、堀江翔太(ともにパナソニック)が初参戦。秋から冬にかけ行われる日本のトップリーグとは時期が重ならず日本人、他国の選手ともに両リーグに登録するケースが増えている。