元世界4位で同27位の錦織圭(28=日清食品)が苦しみながらもベスト8に進出した。同162位のバヒンガー(ドイツ)に第1セットを落としながらも、4-6、6-4、6-4のフルセットで逆転勝ちだ。

 必殺のフォアハンドが、全く言うことを聞かなかった。右手首の違和感、飛ぶ“ゆるゆる”ストリングスなどで、制御不能。それでも、「最後の数ゲームでやっといいプレーができた」と、あらゆるところへ飛ぶフォアを何とか制した。

 右手首のけがの再発への恐怖や違和感で「打ちにいけないのは復帰したてなのでしょうがない」。最終セットまでもつれ、終盤で何とかごまかしながらも勝ちに結びつけるのは、元トップ10の底力だ。「ギアがかかるのが遅かったけど、ああいう形で終われてよかった」。マッチポイントが決まると、右手で小さなガッツポーズをつくった。

 今は、ツアー下部大会でも、とにかく勝利がほしい。勝てば試合数が増え、感覚も戻り、トップ10への復活の道のりは近くなる。右ひじのけがから、1年のブランクで復帰した10年。復帰初戦が1回戦敗退は同じ。復帰2戦目はベスト8だった。まずは、その壁を越えたい。準々決勝では同295位のコプファー(ドイツ)と対戦する。