世界24位の錦織圭(28=日清食品)が惜しくも逆転負けを喫した。元世界王者で同18位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)に6-2、1-6、3-6のフルセットで敗れ、対戦成績は2勝13敗となった。しかし、ともに非常に高いレベルでのプレーで、お互いに完全復調を印象づけた。

 最終セット3-2で、ジョコビッチのサーブを追い込んだ。ブレークポイントを握り、ラリー戦に持ち込み、何度も主導権を握るチャンスがあった。その時、もう少しだけ強気で行ければ、きっと展開は変わっていたかもしれない。「チャンスはあった。なかなか大事なポイントを取りきることができなかった。まだ少しメンタルの弱さとか(がある)」。

 ただ、そこで強気に行ったからといって、必ずポイントを取れるとは限らない。強気と無茶は紙一重で、安定と消極も似たもの同士だ。それだけに、メンタルで片付けたくはない錦織がいた。「ただの判断ミス。思い切り攻めて、ポイントを取るか取られるかでも、よかったかもしれないが、特に正解はない」。

 敗れたとはいえ、ほぼ復調したと見るべきだろう。試合は非常に濃い内容で、18位と24位の戦いではなかった。十分にトップ10同士の戦いではなかっただろうか。だから「確実に勝てた試合だった」と手応えも感じ、それを逃したから「今日の負けはこたえる」と、悔しさをにじませた。

 27日には今季4大大会第2戦、全仏オープン(パリ)が開幕する。「プレー自体は悪くない。復帰して初めての5セット試合。難しい部分はあるが、久しぶりのグランドスラムで気持ちも自然と高まってくる」。いよいよ錦織が、昨年ウィンブルドン以来の4大大会を迎える。

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