ラグビーの日本代表(世界ランク11位)が16日、ノエビアスタジアム神戸でイタリア(同14位)とのテストマッチ第2戦に臨む。15日は本番会場で約30分の軽めの調整。先発SH田中史朗(33=パナソニック)は16年10月に53歳で亡くなった元日本代表監督の平尾誠二氏へ、勝利を届ける決意を語った。

 同戦は「平尾誠二メモリアルマッチ」として開催。神戸製鋼の日本選手権7連覇に貢献し、19年ラグビーW杯の日本招致にも尽力した同氏の志を、未来につなげる特別な一戦だ。田中は京都・伏見工出身で、山口良治監督(75=現京都工学院総監督)に率いられて80年度に花園初優勝を果たした平尾氏の後輩になる。この試合で66キャップ目となるキーマンは「まずはチームとして勝つこと。勝った後に(平尾氏に)感謝して、ファンの方にももっと知ってもらえるように。日本代表として一体となって、やっていきたい」と目の前の一戦に集中した。

 前日14日には平尾氏の同学年で、伏見工と洛陽工が統合して誕生した京都工学院の高崎利明ゼネラルマネジャーのメールを受信。そこには「俺もVIP席で見るな」とあり、平尾氏だけでなく、多くの関係者が見守る一戦だ。田中自身は平尾氏と直接会話する機会は多くなかったというが、「テレビだったり、いろいろな方から聞いています」と功績はよく知っている。

 16日の試合当日は、入場時に平尾氏の「メモリアルマッチ特製クリアファイル」が先着2万5000人にプレゼントされる。このクリアファイルは平尾氏が日本代表として最後に出場した、95年W杯南アフリカ大会のアイルランド戦で、同氏が日本代表で唯一記録したトライの際の写真をデザインしている。さらにはスタジアム内コンコースで、メモリアル展示も実施。34-17で勝利したイタリアとの第1戦(9日、大分銀行ドーム)に続く強豪相手の連勝で、平尾氏のラグビー界に対する尽力に花を添える。