日本大学アメリカンフットボール部の悪質な反則問題に関する、日大アメフト部第三者委員会が30日、都内で最終報告記者会見を開いた。

 第三者委員会は、報告書の中で「日大の広報のあり方も適切さを欠いていた」と指摘した。その中には、辞任した内田正人前監督と井上奨前コーチが5月23日に開いた会見の質疑応答の中で、報道陣の質問を途中で打ち切ろうとし「あなたの発言で日大のブランドが落ちますよ!」と怒りの声が出ると「(ブランドは)落ちません」と答えた広報に対しても「広報の本来の役割が果たされていなかった」と断じた。

 報告書の中で、第三者委員会は「試合映像が間もなくネット上で公開・拡散されて多くの人の注目を集めるとともに、マスコミの報道も熱を帯びる中で、日大ひいてはそのブランドイメージが悪化の一途をたどっていった」と日大のブランドが落ちたことを指摘。その上で「日大においては、しっかりした説明責任を果たし、信頼の回復に努めるべく、適切な広報に務めるべきであったが、事後対応における基本的な視点が欠け、広報としての本来の役割が果たされていなかった」と批判した。

 5月23日の会見では、司会を務めた大学関係者が質疑応答を再三、止めようとしたことに対し、報道陣が怒り、言い合いになる場面が繰り返された。司会者が淡々と「(ブランドは)落ちません」と答えると、とげとげしい雰囲気だった会見場内の各所で笑いが起き、その中、内田前監督が「質問にお答えします」と応じた。

 大塚吉兵衛学長は同25日に行った会見で“ブランド司会”の対応が乱暴になったことについて「番組ごとに画を撮っている。番組の質問者が説明する画が取りたいんだと」と説明があったことを明らかにした。その上で「僕は想像でしか言えませんが(司会者は)番組ごとに同じ会社が別な画を撮りたがっている。1社でまとまってくれればという気持ちが強く、同じ局なので3、4つクルーが分かれ、同じ画にしたいことにイラッとしたのでは?」と説明。「体調を気遣った面もあり、もう十分じゃないかとあのような態度が出たと感じているところです」と内田前監督が会見当日に点滴を打つなど体調が悪かったことを“ブランド司会”が配慮した可能性についても示唆していた。【村上幸将】