日本大学アメリカンフットボール部の悪質な反則問題について、日大アメフト部第三者委員会が30日、都内で最終報告記者会見を開いた。
質疑応答では、会見を開かず、表にも出てこない経営トップの田中英寿理事長について、ヒアリングを行った第三者委員会の面々に対して、報道陣から同理事長の様子などを聞く質問が相次いだ。
委員長の勝丸充啓弁護士は、まず同理事長の責任について「内田氏(内田正人前監督)の独裁関係は、ガナバンスが欠如したものを放置した学長、理事長の責任は認められるというものであります」と、5月25日に会見を開いた大塚吉兵衛学長ともども責任はあると断言した。
報道陣からは「理事長の独裁は事件の背景になかったのか?」「理事長の独裁という観点がないのはどうしてですか?」と質問が出た。勝丸委員長は「学校としてガバナンスが欠如していた。その責任は学長と理事長にもある」と従前の回答を繰り返した。
さらに報道陣からは、田中理事長へのヒアリングの回数と様子について質問が出た。勝丸弁護士は「田中理事長の対応は、回数はともかく、丁寧なヒアリングは行った。日大幹部の大きな問題点は、アメフト部の問題で自分たちの問題とは捉えていなかったこと」と、回数こそ示さなかったものの、田中理事長が今回の一連の問題を、アメフト部の問題だと考え、ヒアリングにおいても人ごとのような姿勢を見せていたと明かした。
その上で「大塚学長は『間違いであった』と記者会見で述べられている。田中理事長に関しても、対外的に宣言していただきたい。いろいろなやりとりをしているが、ここで答えるのは適切ではない」と、ヒアリングの詳細は伏せつつも、田中理事長に会見を開くなりして、責任のある発言をするよう求めた。「アメフト部の問題だと考えており、説明責任を果たしていない点については十分に考え、今後、果たしていただけると思う。我々は説明責任を果たしていないと指摘し、本人もそれを受け止めていた」とも語った。
報道陣からは「これだけ田中理事長に関する質問が集中するのは、取材対応しないからです」などと、さらに追及の手が伸びた。勝丸弁護士は「少なくとも、これだけ言われて説明責任を果たさないのは、第三者委員会との約束からもありえない。ヒアリングからも、何らかの説明の責任は感じられていると感じた」と田中理事長の誠意ある対応を期待した。さらに質問が続くと「なかなか答えるのが難しい。本件に関する問題意識のなさを、事情聴取をして感じた。我々は『そこはおかしい、改められた方が良いのでは?』と言う中で、ご自身の責任に関してもご理解いただいた感じだった」と、ヒアリング時の田中理事長の様子を、重ねて説明した。
「理事長が変われば日大が変わるか?」との質問まで飛んだ。勝丸弁護士は「いつまでも理事長をやっているわけではないですから、変わる時期も来るでしょう。時期は分かりませんが、リーダーが変われば組織は変わっていくだろうと思います」と、あくまで一般論として答えた。
第三者委員会は今後、解散するというが、勝丸弁護士は「今後も、やりとりは行われる。選考委員会の方を通じアメフト部、関係者との関係は続くと思います」と説明した。
すると質疑応答の終盤で、報道陣の一部から、内田正人前監督と井上奨前コーチを同日に懲戒解雇されたことを踏まえ「日大はトカゲのしっぽを切って、第三者委員会は、それを黙認する印象が個人的にする」と追及の声が上がった。勝丸弁護士は「内田氏と井上氏につきましては、選手に危険タックルを指示した当事者。被害者の選手は大きなけがを負い、日大の選手も大きな心の痛手を負った。直接的な責任を問われるのは当然のことで、大学もそこを重視して懲戒解雇を下したと思う。それ以外の人は、広い意味の監督責任。責任が違うのは当然のこと。本人、大学当局において判断されること」と、懲戒解雇された内田前監督と井上前コーチと、田中理事長らの立場の違いを指摘した。
さらに、同じ記者から「日大に自浄作用がないから、第三者委員会が期待されたのでは? 最もメスを入れて欲しいところに、この態度ですか?」と、さらに追及の声が上がった。勝丸弁護士は「質問の趣旨が、よく分からない。第三者委員会の責務は、あくまで調査、提言であり、責任追及を目的とするものではない。問題を指摘するところに我々の責務はある。しっかり責任を果たした」と冷静に返した。「報告、報告書に世論は納得するのか?」の声にも「精いっぱい、誠意を持って結論を出したつもり。心ある人には、伝わると思います」と淡々を切り返した。【村上幸将】


