2020年東京五輪方式の複合が世界トップレベルで初めて行われる大会が幕を開けた。

どこまで高く登れるかを競うリードの女子予選では、「栄養士クライマー」の小武芽生(21=エスエスケイフーズ)がA組6位で8日の準決勝進出を決めた。野口啓代(29)はA組3位、野中生萌(みほう、21=ともにTEAM au)はB組6位で、日本女子は3人とも予選を通過した。

A組2番手で登場した小武は、1ルート目は34+(35手目に挑んで失敗)、2ルート目も27手目の高度まで到達。「苦手なホールド(突起物)が遠いムーブ(動き方)で落とされてしまったけれど、とりあえず予選を取ってしまえばこっちのものなので」と悔しさもにじませつつ、準決勝を見据え前を向いた。

リードを得意とする21歳は栄養士としての顔も持つ。女子栄養短大で調理技術や栄養の基礎を学び、栄養士とフードスペシャリストの資格を取得。日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援「アスナビ」を利用してドレッシングやマヨネーズを作る食品会社、エスエスケイフーズに今春就職した。業務用営業課に所属し、自社製品を使った新しいレシピ開発に携わる。卵と油を使わず、マヨネーズと小麦粉で作ったクッキーや、トマト味のドレッシングをミートソース代わりにしたポテトグラタンのレシピなどを開発したという。

栄養の知識もクライミングに生かす。リードで必要とされる持久力の秘密は豚肉にある。「豚肉を食べると持久力が落ちないんです。ビタミンB1とかが大事なので」とうなずきながらはつらつと話した。5日夜もハムを食べて6日の予選に備えた。体に合う食べ物を厳選し「30センチくらいの、真空パックのサンマのみそ煮を日本から持ってきた。どこかのタイミングで食べます」と笑みを浮かべた。

自らの体を気遣いながら高みをめざす。今大会は「テンポの良い登り」をテーマに「とりあえず決勝に行きたい。決勝でどんなパフォーマンスができるのか自分でも楽しみ」と目を輝かせながら闘志を燃やした。【戸田月菜】

◆小武芽生(こたけ・めい)1997(平9)5月18日、北海道札幌市生まれ。小学5年の時に習い事としてクライミングを始める。海外遠征でもっと他国の選手と話したいと思い、北星学園女子高2年の時に米フロリダに1年留学。女子栄養短大に進学し、栄養士とフードスペシャリストの資格を取得。18年4月にエスエスケイフーズ入社。今季はフランス・シャモニーで行われたW杯リード第2戦で5位。154センチ。