初出場の藤原崇太郎(20=日体大)は銀メダルに終わった。決勝では世界ランキング1位のモラエイ(イラン)に延長16秒に裏投げを仕掛けたが返され、払い巻き込みで一本負けを喫した。試合後「世界の壁は厚かった。簡単に勝てるものではなかった。得意技を返され完全に負けた。相手の方が一枚上手だった」と唇をかんだ。

初戦から屈強な海外勢を次々とねじ伏せ、決勝まで進んだ。高校時代から強い体幹を軸に大外刈りや裏投げで将来を有望視された。ロープ登りで鍛え上げた背筋を生かし、持ち前の防御が強みとなった。

大学入学後はけがに悩まされたが、今年2月のグランドスラム(GS)パリ大会を制覇したことが転機となった。10キロの減量に取り組み「過酷な減量をして柔道の集中力が高まった」とし、眠っていた才能が開花した。

同じ兵庫県出身で大学の先輩の世界王者、阿部一二三(21)から「体のケア」も学んだ。稽古後、ストレッチやアイシングなどを取り入れ、けがが少なくなった。「練習の無理と頑張りは違うことが分かった。体の回復を考えたら、結果も徐々に出始めた」。

大会直前には、長いパーマだった髪形をサイドを数ミリに刈り上げた「EXILEのAKIRA風ヘア」で臨んだ。試合では気合十分で威勢も良く、観客を魅了した。来年こそは世界王者の称号を手にするために「世界一の稽古をして、世界一になる。これから、さらに成長する」と前を向いた。