これぞNBAの力だ。日本代表八村塁(21=ウィザーズ)が、6月のドラフト指名後初の凱旋(がいせん)試合となったニュージーランド戦に先発。

両チーム最多35得点、5リバウンド、3アシストを記録した。開始40秒で初得点を決め、前半だけで22得点をマーク。1人だけ異次元のプレーで観客を魅了した。日本代表はW杯中国大会(31日開幕)まで4試合を戦い、9月1日のトルコ戦に向け調整する。

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八村は、いきなりエンジン全開でコート内を駆け回った。開始早々にチーム初得点を決め、その後はゴール下でしつこく迫る相手をはじき飛ばすようにシュートを決めるなど、5分半のプレーで10得点。この時点で格上のニュージーランドを18-2と突き放し、主導権を握った。

24得点で迎えた第4クオーターは、開始4分半で11得点を上乗せ。3点シュートは2本中2本、2点シュートも15本中11本と高確率で成功。両チームで1人だけ30得点を超え、次元の違いを見せつけた。「リバウンドの強い相手に10点差を付けて勝ったことは大きい。最高の出だし。100点に近い」と振り返った。

チームメートも八村のプレーに刺激を受けた。先発した篠山は「スペシャルな選手。いるだけでスペースもできるし、かなりの武器になる」と話し、「ビッグスリー」の1人、ファジーカスも「彼は自分が得点しなければと強く思っている。自分も塁1人に押しつけないようにバランスを取っていきたい」と思いやった。

NBAドラフト1巡目で指名を受け、周囲の盛り上がりを感じる中、若いながらも代表を引っ張っていく自覚も出てきた。ウィザーズのユニホームを着て観戦する人を目にし「NBA選手として見られている。プレッシャーもあるけど負けないように、チームを引っ張っていきたい」。NBAの力を見せつけた日本のエースが、W杯に向け力強く締めくくった。【松熊洋介】