女性問題で揺れる競泳男子の瀬戸大也(26)が、強化プランの見直しを余儀なくされた。日本水連は13日に「年内の活動停止」などの処分を発表。瀬戸は国際リーグ(ISL、10~11月、ブダペスト)日本選手権(12月、東京アクアティクスセンター)を不出場。もともと試合を重ねて調子を上げるタイプだが、年内は練習に専念する。代表内定が維持された東京五輪に向けて、年明けから急ピッチで仕上げていく形になる。

瀬戸は、処分を受けて「私の無責任な行動で深く傷つけてしまった家族からの信頼を回復し、家族からも皆様からもスイマーとして再び認めていただけるよう、一からやり直す覚悟で真摯(しんし)に水泳と向き合っていきたいと思います。本当に申し訳ありませんでした」とコメント。競技継続への意思を表明した。

<記者の目>

年内=実質2カ月半の活動停止。瀬戸への処分は軽いのか、重いのか。競泳界では17年に日本代表合宿で選手間の暴力が発覚。その際は当該選手の所属先が処分として3カ月の対外試合自粛、日本代表活動辞退を決めた。日本水連は「所属先の処分も受けており、それを追認する」として追加の処分はなし。「3カ月」の期間を妥当と判断した。

もともと不祥事の際、同連盟はまず選手の給料を払う所属先の処分を尊重する。しかし瀬戸は所属先だったANAから最大の処分=契約解除されており、同連盟が処分に乗り出した形だ。女性問題に道義的な責任はあるが、刑事罰ではないために暴力による「3カ月」よりも短い「2カ月半」としたことはふに落ちる。

ただ釈然としない部分はある。ISLの不参加だ。ISLは国際水連、日本水連と全く別の組織でウクライナの富豪グレゴリシン氏が立ち上げた、いわば「民間」の海外大会。日本水連が影響を及ぼせる範囲にあるか、微妙なラインだ。賞金総額605万ドル(約6億6550万円)で海外のトップ選手が集結。コロナ禍で開かれる五輪レベルのISL不参加は物心両面で痛手だろう。ただ瀬戸が日本水連の処分を受け入れて「一からの出直し」を決めたからには五輪までの残り9カ月を愚直に歩むしかない。【水泳担当=益田一弘】