東京五輪柔道男子66キロ級の代表決定戦は17、18年世界王者の阿部一二三(23=パーク24)が、19年世界王者の丸山城志郎(27=ミキハウス)に24分の死闘の末、勝利した。柔道関係者の間では、決定戦前から「数字」にまつわるうわさが飛び交っていた。

66キロ級の最終選考会は当初、4月の全日本選抜体重別選手権(福岡)だった。しかし、コロナ禍の影響で延期に。代替された12月のグランドスラム(GS)東京大会も中止になり、今回の「ワンマッチ」決着となった。日程はGS東京大会期間の12月13日だった。

ある関係者は「試合日に(阿部)一二三の名前、年齢の23歳の数字まで入っている。たまたまだろうが、何かあるのか…。不思議だ」と言っていた。試合時間は、予想をはるかに上回る24分だった。別の関係者は「誰もが想定してない長期戦。試合時間の24分は、阿部選手の所属の『パーク24』の数字だ。こんなことあるのか」と驚きを隠せない様子だった。

両者の対決はコロナ禍前であれば4月の選抜体重別選手権で、66キロ級の試合日は4月5日だった。この日は、丸山の父の顕志さん(55)が講道館杯を制し、92年バルセロナ五輪代表を決めた日。さらに丸山の兄で81キロ級の剛毅(ごうき、28=パーク24)の誕生日でもある。

関係者は「今回の代表決定戦は、歴史に残る激闘だった。本当に両者とも正々堂々、素晴らしい戦いを見せてくれた。五輪前に柔道がここまで盛り上がるとは正直思わなかったし、改めて柔道の素晴らしさを分かってもらえたのではないか。たまたまの偶然が重なったと思うが、奇妙な数字の恐ろしさも感じた」と話していた。【峯岸佑樹】