小松原美里、尊(たける)の夫婦カップルが3連覇を果たした。リズムダンス首位から大きなミスなくまとめ、後続を引き離した。美里は「初めて優勝した時は何もわからないまま、去年はケガで必死に。今年は皆様が大変な時期で滑れているだけでも奇跡。感謝の気持ちを込めました」とコロナ禍での優勝に、特別な感情を示した。

レベル4のダンスコンビネーションスピンから滑り出したフリーは、2季前に演じた「ある愛の歌」。「今年は挑戦のシーズンというよりかは、自分たちが一番得意で出せる物をしっかりやっていく。それは正解だった」(美里)と、終盤まで動きをシンクロさせ続けた。演技直後、緊張が高まっていたという尊は「難しい状態で、『できた!』という気持ちがあった」とガッツポーズ。美里は「私は(疲れて)死んでいた。(ガッツは)分からず」と苦笑も、ともに手応えを感じた演技となった。

米国生まれの尊は、11月に日本国籍を取得し、今大会が日本名「小松原尊」で臨んだ初大会だった。コロナの影響で拠点のカナダから2人で帰国したのは4月。公共機関が使えず、羽田空港から岡山までのレンタカー移動を美里に任せた。当時は「日本の住所を持ってなくて迷惑になると困る」と運転ができず。飛行機が15時間、車が9時間。美里は「あれは頑張った」と懐かしむ。それから8カ月。夫は日本人となり、夫婦で北京五輪の道も開けた。

日本の1番手として五輪の枠取りがかかる世界選手権に向かう。そして来季、五輪で使いたいFDの曲も決めている。尊は「五輪は団体戦もある。レベルを上げていきたい」と志した。【阿部健吾】

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