<フィギュアスケート:世界選手権>◇24日(日本時間25日)◇フランス・モンペリエ◇ペアフリー

【モンペリエ(フランス)=松本航】ペアショートプログラム(SP)3位の三浦璃来(20)、木原龍一(29)組(木下グループ)が、日本勢過去最高の2位に入った。フリー3位の127・97点で、合計199・55点。2人の躍進で次回出場枠の最大「3」をつかんだ。男子SPでは宇野昌磨(トヨタ自動車)が世界歴代3位の109・63点で首位。鍵山優真(オリエンタルバイオ/星槎)が2位、友野一希(セントラルスポーツ)が3位につけた。

【フィギュア】宇野昌磨1位、鍵山優真2位、友野一希3位発進/世界選手権男子SP詳細

「りくりゅう」の躍進を支えた人がいた。「メダルが決まる場に一緒にいさせてくれてありがとう」-。カナダ人のブルーノ・マルコット・コーチ(47)は、演技に悔しさをにじませる三浦と木原をねぎらった。

日本のペア競技発展を強く願ってきた。10年前の世界選手権で3位に入り、かつてマルコット・コーチに師事した高橋成美さん(30)は「(出身と)全然違う国なのに、全身全霊で日本のために費やしてくれた」と振り返った。新たなペア結成を目指しトライアウトが日本で行われる際には、自らの仕事を後回しにして来日。高橋さんは「個人の選手のためというより、日本のためと思ってくれていた。ペアの発展につなげてくれた存在の1人です」と元競技者として感謝した。

「りくりゅう」結成1季目。故障を抱える木原は、マルコット・コーチからユーモアたっぷりに「ミイラ」と呼ばれた。木原が三浦を投げてつかむツイストリフトは1日おき。せかさず土台を作ってくれた師に「気持ちが沈んでいても、奮い立たせることを言ってくれる。僕たちは単純なので、褒められたら『うまくなったんだ』と真に受けて、シンプルに成長できた。本当に信頼しています」と思いを寄せた。常々伝えられてきたのは「笑顔を絶やすな。ポジティブであれ」-。その言葉通りの姿で、2人は世界の人の心をつかんだ。【フィギュアスケート担当=松本航、阿部健吾】