京産大が全勝対決を制し、98年以来の関西2連覇に王手をかけた。2年ぶり優勝を目指す天理大に29-22で勝利した。昨季、大学選手権4強の立役者となったフランカー三木皓正(3年=京都成章)が後半途中から今季初出場。左膝骨折の重傷から復帰した“魂のタックラー”が躍動した。全国大学選手権出場は既に京産大、天理大が決定。残り1枠を最終節(12月3日、花園)で近大、関学大、同志社大までが争う。

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緊急事態を乗り越えてつかんだ勝利だった。先発予定だった2年生ロックのフナキが、2日前の練習で右手を骨折。急きょメンバー入りした三木が後半7分から今季初出場した。

7点リードの後半ロスタイム。タックルをしては起き上がり、すぐに2人目にタックルに入る。魂のこもったプレーで天理大の攻撃を封じると、観衆が沸いた。

「仲間を信じていましたけれど、なかなか復帰できず悔しい思いをしていました。試合に出られない選手の思いも背負って戦った」

目指す日本一へ。まだ道の途中だが全勝対決を制し、選手らは涙を流した。

前半は主審の微妙な判定が続き、スクラムで反則をとられて流れを失った。

一時は0-10とリードを許し、途中から田倉FWコーチの指示で組み方を微調整。元日本代表SOの広瀬佳司監督(49)は「前半にスクラムで反則を4つも取られたのは痛かった。後半の立ち上がりから修正して、素晴らしいアタックをしてくれた」と振り返った。

天理大戦に向けた練習で1時間半、ぶっ通しでスクラムを組み続けたプロップ渡辺龍(4年=甲南)は「練習から、どれだけしんどい状況でも修正をすることを課題にやってきました。今日はそれができました」と笑顔を見せた。

天理大には5月の練習試合で35-52で敗れ、7月の春季トーナメント決勝は31-31の同点。追いつき、追い越せの精神で努力を重ね、秋にようやく勝った。

広瀬監督は「天理さんはハードな練習をしている。我々もスクラムや、本当に地道なタックル練習を毎日やっている。春からの積み重ねが出て良かったです」。共同主将のCTB家村健太(4年=流通経大柏)も「僕たちが相手以上にキツイ練習をしていることを示したかった。自然と涙があふれました」と話した。

3トライ差以上の勝利なら24年ぶりの2連覇が決まっていたが、最終節・近大戦に持ち越し。復帰した三木は「日本一という目標がある。(リハビリ期間中は)体を大きくしようと、バカみたいにウエートをしていました。現状に満足せず、さらに成長したいです」と大学選手権を見据えた。

▽天理大・小松監督 後半にケガ人が出たり、我慢できずに差を広げられた。京産大さんの強みを、うちも参考にしないといけない。チームとしてはまだ強くなれる。4年生には一体感があるので、今後につながる試合になった。