アスリートの生い立ちや人生のターニングポイントを聞く「わたしのツクリカタ」。宇都宮ブレックスの渡邉裕規(34)は初代Bリーグ王者になった直後に1度引退した。どうしてもやりたかったことに挑戦したが、うまくいかないことも多く、精神的に追いつめられた。そして、ブレックスに戻ってきた。
-そういう経験を経てバスケに対する考え方、プレーは変わりましたか
渡邉 変わりましたというか…、1日でも長くバスケをやれるように努力するようになったかな。それまでは「辞める」って決めていたから。そのなかで練習していました、もちろん優勝はしたけど。第2シーズンは栃木に戻らせてもらった、GMの方に戻らせてもらった。手厚くしてもらって、ファン投票でオールスターまで出させてもらって。あらためてブレックスの良さだとか強さだとか。ほんと、栃木県というのが好きになりましたし。お客さん、ファンに対する愛情はかつてよりありますよね。1回辞めたっていうのもあるし。ぼくのなかでは特別な土地。
-ブレックスに復帰したあと、農業も始めましたね
渡邉 最初は別にやりたいとか思ってなかった。やりたくてやったというより、栃木でできた仲間、すごく仲いいんで、そういう人たちと、そのときコロナで中止になってしまって、まあインスタなんかで書いているんですど。なんか、次辞める時って、前の辞め方と違うじゃないですか、やめたくて辞めるんじゃなくて、いらないって言われて辞めるわけだから。その時までになんかこう、コロナもあって飲食店がつぶれたりして、何が一番いいかなと思ったら、友達が農家だったんで。だからちょっと声をかけて、これこれこうやりたいんだけどって言って。で、何人か集めてそういうプロジェクトを立ち上げて。
渡邉 元Jリーガーもいますよ。元栃木SCの西澤代志也(にしざわ・よしや)、栃木SCに9年間いたから。その前には浦和にいて、辞めていま就農してて。で、僕はまだ(現役を)やっているじゃないですか、ファンの方がみてくれる、SNSとか(数が)すごいから、そんなでいろいろ、夏休みイベントとか、収穫祭とか、けっこうファンの方が来てくれる。1回バスケを離れて分かったんですけど、結局ぼくが次になにかやるとなったらイレギュラーになるんですよ。
-パナソニックの時には調子に乗っていたとおっしゃっていました。叱ってくれる人がいないと
渡邉 みんなやさしいようでやさしくなかったですね。
-渡邉選手はしっかりしているように見えますが
渡邉 そのときは21かそこらだから、なかなか未熟ですよ。大阪に何年いたかな、3年かな。楽しかったですよ。初めて1人暮らしをしたんで。ずっと実家だったんで。楽しかったけど、人間として全然大人じゃなかった。なにかこう、会社員だったから。まあそんな大して仕事に出たりはしないんだけど。バスケットに対してはマジメにやってたけど、いまのようなBリーグじゃないから、JBLって企業のチームだったから、正直盛り上がっていないし。その時、代表に入っていたけど、今ほどではないし、その盛り上がりが。帰化選手もいないし。まあ、適当に何年か、ここでバスケやって、クビ切られたらパナソニックの社員で残るっていうのが、一応の流れだったですよ、当時は。
渡邉 パナソニックとか、いくら勉強しても入れない会社に在籍できるんだから、まあいいかなって思ってましたね。ここで何年かやって、移籍するなら移籍するし、でも移籍したら後先はないから。って思っていたけど、結局パナソニックのバスケ部が廃部になっちゃったんですね。代表の合宿中かなあ、朝、ホテルで報道で出てて。寝耳に水状態でした。おれと、三遠にいる金丸(晃輔)って選手が同じホテルに泊まってたんですけど、パナソニックは栃木ブレックスと和歌山で試合していたんですよ。確か、プレシーズンゲーム。チームの連中も和歌山での試合前に聞いたみたいな。そんな感じですね。まあ、大変でしたよ。あの時は。プロ生活のなかでも一番大変な時期だったかもしれない、来年チームないって。今は栃木に来て良かったと思いますし、栃木はめっちゃいい街だなんてほざいてますけど、その昔は1ミリも栃木に来るなんて思ってなかったですからねえ。
-住めば都だ宇都宮、という感じですか
渡邉 そうですよ、マジでそういうことになってきました。(続く)
◆渡邉裕規(わたなべ・ひろのり) 1988年3月22日生まれ、神奈川県川崎市出身。世田谷学園-青山学院大-JBLパナソニックを経て、2013年に栃木ブレックスに加入した。日本代表には4大会で選ばれている。栃木のFM局「RADIO BERRY」で毎週木曜日にパーソナリティーも務めている。
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