四家魁人(22)のシュートが決まった瞬間、ブレックスアリーナにはこの日一番の歓声が湧いた。
第4クオーター(Q)残り3分39秒だった。同Q途中から出場した四家は、パスを受けるとドリブルで相手ディフェンスをひとりかわし、左45度の角度から3Pシュートを放つ。ボールはきれいにネットに吸い込まれた。
左手を高くあげたが、プロ初得点(レギュラーシーズン)の喜びに浸ったのは一瞬。すぐにディフェンスに戻り、試合終了まで激しく動き回った。
試合後のインタビュー。自身の喜びを語る前に、チームメートへの感謝の言葉から入った。
「先輩方がプレータイムをつくってくださったおかげです。3Pを決められて良かった」
開幕からこの試合前まで、プレータイムはわずか40秒。タフな試合展開が続き、新人ポイントガードにチャンスはなかなか回ってこなかった。
茨城戦も前半は拮抗(きっこう)していたが、第3Qから徐々に点差をつけ、同期の村岸航(26)とともに四家がコートインした時には、18点差がついていた。
周囲への配慮を忘れないところは、22歳とは思えない。高校卒業後に単身渡米し、厳しい環境のなかで心技体を磨いた。ブレックスでも外国籍選手と英語で会話し、レジェンド田臥勇太にもどんどん質問する。物おじせず、コミュニケーション能力にたけたところが、視野の広さにつながっている。
「思ったより早く点が取れました。プロとしてのキャリアをスタートできたと思います。うれしい」
中学時代は、同い年の河村勇輝(横浜BC)と競り合うほど、全国的にも名が知られていた。「尊敬しています」という存在をここから追いかけていく。横浜BCとは12月2、3日に対戦が組まれている。
大きな可能性を感じているだけに、佐々宜央(さっさ・のりお)ヘッドコーチの目は厳しい。「魁人おめでとう」と祝福したあと、こう続けた。
「得点をしたあとにファウル、ターンオーバーをしてしまったように、まだまだ安易なところがある。彼とは日ごろから、うるさいと思われるくらい、いろんなことを話している。勉強することはいっぱいある」
田臥をはじめ渡邉、鵤と先輩PGの壁は厚い。「日本代表になって、NBAにも挑戦したい」という、でっかい夢を持った22歳。今後、どういう成長曲線を描くか、非常に楽しみだ。【沢田啓太郎】
◆四家魁人(しけ・かいと) 2001年9月25日、福島県いわき市出身。福島南高校卒業後に単身渡米し、212 Sports Academy Prep Schoolを経て、2022―23シーズンはNCAA2部のフェアモント州立大で1年間プレーした。ポジションはポイントガード。175センチ、74キロ。


