秋田の“鷹”が、全国の頂点をがっちりとつかみ取った。男子距離4×10キロリレーで秋田北鷹が優勝。1走の奈良虎太郎が1位と32・3秒差の6位でつなぐと、2走の遠藤佳人主将が1周目で首位に立ち、以降松浦鷹祐、藤本孝輔(全員3年)とトップを独走。2位に1分38秒差をつける圧勝で頂点に立った。4月に花輪、十和田、小坂が統合し「鹿角高校」となる花輪(秋田)は、現校名ラストランの女子距離3×5キロリレーで3位に輝いた。女子の秋田北鷹が準優勝。男子の新庄南金山校(山形)が3位に入った。
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確信滑りで、仲間が待つ直線を駆け抜けた。藤本は、最後の直線に差しかかるやいなや、腕を高く上げた。「仲間が見えた時は、本当に感極まるというか、今までにない気持ちになった。最高でした」。沿道の応援に応えるようにストックを掲げて回す。最後は渾身(こんしん)のガッツポーズでフィニッシュ。涙を流して駆け寄る仲間たちをしっかりと受け止めた。「みんなが自分の実力以上のものを出してくれた。リラックスして臨めた。最高の仲間」と藤本。悲願の優勝をかみしめた。
リレーメンバー4人と、補欠の菊池仁之介(3年)は小学校からともに歩んできた仲間だ。奈良、松浦、藤本、菊池は小学校では北秋田ジュニアクロカンに所属し、研さんを積んだ。山形出身の遠藤とは小学6年の全国大会で出会い、関係を深めた。中学2年の冬、藤本が遠藤に「インターハイリレーで優勝したい。北鷹でやろうよ」と声をかけたことをきっかけに、小学校から知る仲間が5人、秋田北鷹に集った。
入学当初から目標にした優勝だったが、1年時は4位、2年時は3位。それでもあきらめずに歩んできた。3年生になってからは練習に登山を取り入れ、きつい中でも声をかけ合ってきた。チームはつらいときに、さらに力が出せるようになった。そして、つかんだ全国の頂点。奈良は「この仲間で続けてきて正解だった」。遠藤は「自分たちがやってきたことに間違いはなかった。悔いはまったくない」。松浦は「ラストレースで優勝できた。すごい、幸せです」と振り返った。藤本は「12年間一緒にやってきた絆が最後、どこのチームにも負けない形になった」。小学校から紡いできた秋田北鷹の絆は、どこよりも固く、強く、輝きを放った。【濱本神威】
○…新庄南金山校(男子) 2位と12秒差の3位。アンカー大場顕真(3年)は途中まで2位を走っていたが、ラスト1キロでかわされた。ゴール後、涙を流した大場は「2位になりたかった。悔しい」と言葉を絞り出した。次は地元山形で開催される国体が控えている。大場は「まだレースは終わっていない。国体のリレーで(頂点を)取りたい」と断言。インターハイで飾れなかった有終の美を地元で飾る。
○…ラストランで表彰台に上ったが、真っ先に出てきた感情は「悔しい」だった。花輪の1走木村翠(3年)は「1位でバトンを渡すという目標だったのに4位。みんなに迷惑をかけて…本当に悔しいです」。2走の吉田凛(3年)は「3年間ともに頑張ってきた仲間と、一緒に優勝するという気持ちで臨んでいた。悔しいです」。涙なしには振り返れなかった。
木村が4位でバトンを渡し、吉田が4位を維持。託された小鮒穂乃実主将(3年)は勢いよくスタートを切り、順位をひとつ上げて帰ってきた。自身のタイムは区間1位。3年生3人で思いをつなぎ、小鮒自身としてもフリーの6位、クラシカルの7位の悔しさを晴らす結果だが、「3位だったので悔しいです」。目指していたのは優勝ただ1つだった。
今大会で取れなかった金メダルはこの先でつかみ取る。小鮒は「花輪高校に来て、きつい練習もみんなで耐えてきたし、仲間の大切さも学んだ。それを生かして、最後まで全力で滑りきりたい」。「花輪」の名を背負って、未来で大輪の花を咲かせる。【濱本神威】
○…秋田北鷹(女子) 3年生相手に1歩も引かず、1年生3人で準優勝に輝いた。1走の石田葵主将が1位と4・2秒差の2位でつなぐと、中嶋彩惠(あや)が女子距離5キロクラシカル覇者の飯山(長野)高橋実楽に食らいつき、5・2秒差でアンカー外崎優芽へ。外崎も一切臆せず、2位を守り切った。将来に向け、石田主将は「みんな全国でも活躍する強い選手。それを力に、ライバル意識を持って仲良く高め合っていきたい」。新星・秋田北鷹の時代はまだ始まったばかりだ。


