【モントリオール=阿部健吾】3連覇がかかる宇野昌磨(26=トヨタ自動車)が今季SP世界最高で首位発進した。4回転フリップ、4回転-3回転の連続トーループ、トリプルアクセル(3回転半)を成功させて107・72点を記録した。
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ジレンマはある。得点の比重を考えればジャンプが大事。ただ、気持ちは表現面に執着したい-。宇野は今季、試合で戦う度に、どうしてもジャンプを重く考えざるを得ない状況に悩み、腐心してきた。その集大成の舞台で言った。「(ジレンマは)まだあります。ただ、今日は結果に結び付いてよかったです」。この日に関しては、顔は曇らずに晴れていた。
それもそのはず。冒頭、感触があった。「今までの試合で一番いいフリップを跳べた」。演技の流れの中で決めた4回転。本人の手応えと等しく、出来栄え点は、現行ルールになった18年以降で跳んだ単発ジャンプでは過去最高4・56の加点を引き出した。
苦悩の中で打ち込んだ日々は間違いでなかった。年明けから、「たくさんの練習、いろんな跳び方を試行しながらやってきた」。深夜の貸し切りリンクで跳び続け、映像を幾度も確認する毎日。「失敗を恐れずに取り組んできたものが、結果に結び付いた」。大一番で出せた成果が、純粋にうれしさを生んだ。演技を終えると、かみしめるように拳を握り締めた。
「気分はいいですけど、良い点数をもらって」とおどけながら、続けた。「男子は10点(差)でも変わらない」。首位発進と出来栄えに喜ぶのは翌日まで。23日のフリーは「何もなかったかのように切り替える」と引き締めた。「日々の練習の仕方に絶対的な自信を持っている。失敗でも受け入れる」。再び結果として実れば、3連覇がこの日以上の歓喜を生むだろう。


