<高校ラグビー:名護79-7浜松工>◇1回戦◇27日◇花園

 聖地で全国の力を肌で感じた。2年ぶり4度目出場の浜松工(静岡)が、第2グラウンドの開幕戦で名護(沖縄)に敗れた。前後半で6トライずつ喫する完敗。それでも、WTB石川幸四朗(2年)が前半に一時同点となるトライを演出するなど、巧みなステップで存在感を示した。その他の2年生も大舞台で得た多くの教訓を持ち帰り、高校ラストシーズンに臨む。

 7点を追う前半12分、浜松工WTB石川が見せた。敵陣深くでのラックからパスを受けると、名護の防御網をすり抜ける。最後は右側をフォローしてきたFB高山和喜主将(3年)にパスし、同点につながるトライをお膳立てした。自分でも決められるように見えたが「確実に取りたかったので」と、チームプレーに徹したアシスト。これが反撃開始の号砲…となるはずだった。

 ところがその後は、得点を挙げられなかった。名護のハイパントを捕り損ねてボールを奪われると、ワイドな展開ラグビーを止められず合計12トライを喫した。石川は後半にも鋭い突破を見せたが、インゴールは遠く60分間が終わった。選手たちの口を突いたのは「思っていたより名護のコンタクトが強かった」という言葉。事前に見た映像と現実のギャップに苦しみ、大差をつけられた。

 反省点はまだある。プロップ妹尾翔生(さねたか=2年)は「ポジショニングが遅く、疲れた時に走れない。コミュニケーションも少なかった」と、基本的なチーム力の違いを悔しそうに振り返った。

 とはいえ、2年生に立ち止まっている暇はない。年明けの12日からは、既に開幕した新人大会に参戦する。ロック池谷雅哉(2年)は「静岡で圧倒して優勝しないと他の県に勝てない。もっとボールをつなげるようにしないと」と、ラストイヤーへの意気込みを示した。1年後に雪辱するために、この日の悔しさは忘れない。【石原正二郎】