<高校ラグビー:目黒学院47-22札幌山の手>◇2回戦◇30日◇花園

 過去5度の優勝を誇るBシードの目黒学院(東京第1)が22年ぶりの出場で勝利し、古豪復活ののろしを上げた。NO8デビタ・タタフ(2年)が2トライを挙げる活躍で、札幌山の手(南北海道)に勝ち、10月末に亡くなった梅木恒明前監督に勝利をささげた。次戦は明日の元日に、大阪朝鮮高(大阪第3)と対戦する。

 梅木イズムの気迫のラグビーは健在だった。守りにミスも出たが、国際交流で来日したタタフ、SOモエアキオラのトンガ人を中心に勝ちにつなげた。幡鎌監督は「来たら勝つものと思っている」。22年ぶりの出場も古豪の意地を見せた。

 183センチ、106キロの巨漢が突進する。前半7分、高校日本代表候補に高1で抜てきされたタタフが魅せた。敵陣5メートルライン付近のスクラム。自らボールを入れ、出たボールを自らトライに結びつけた。「前に行くことだけを考えた」。都大会を勝ち抜いた戦法で、花園の自身初トライだ。

 ベンチプレス最高130キロを持ち上げるパワーで、夏の練習で、チームメートを傷つけた。「本当に申しわけなかった」。以来、6割の力で練習。この日は、残り4割を爆発させた。9人きょうだいの一番上。将来は「両親に家を建てたい」。優しくて力持ちを地で行くタタフが、22年ぶりの1勝をもたらした。

 前身の目黒時代、梅木氏の指導で年間400もの激しい試合で鍛えられた。だが91年度大会8強を最後に花園が遠のいた。25人の登録選手中、入学前のラグビー経験者はトンガの2人を除くと5人だけ。この数年は学校説明会の度に体格の大きい生徒を誘い、ルールから教え込んだ。

 それでも幡鎌監督は「昔の気持ちは受け継いでいる」。大会前には梅木家に出向き、黙礼してきた。次戦は強豪の大阪朝鮮高。梅木イズムとともに、目黒学院としての新たな歴史を刻む。【吉松忠弘】