<高校ラグビー:秋田工57-7光泉>◇2回戦◇30日◇花園

 Bシード秋田工(秋田)は光泉(滋賀)に快勝し、6年ぶり16度目の全国制覇に向けて好発進した。初戦の緊張から、序盤こそ硬さが見られたが、伝統のドライビングモールで先制を含む4トライを挙げて突き放した。2年連続の花園での年越し。東北勢最後のとりでになったチームは、明日1月1日の元日ラグビーで長崎南山と8強進出をかけて対戦する。

 秋田工がシード校の実力を発揮し、全国トップの花園通算130勝目をあげた。1回戦を勝ち上がってきた光泉に対し、初戦の緊張は見られたが、昨年度全国8強レギュラー10人が残る経験値をパワーとスピードに変えた。

 今季目標に掲げるアップテンポなラグビーが機能する前に、伝統のドライビングモールが爆発した。前半18分、相手ゴール前5メートルの左ラインアウトからモールを押し込み、フランカー村井遥介主将(3年)が先制トライを決めた。この日の計9トライ中4トライがモールから。うち3トライを挙げた村井は「みんなの頑張り。最後尾なので決めただけ」と淡々と話した。

 県予選まで不調だったモールが、修正を重ねて復活した。平均体重では相手FWが約4キロ上回っていたが、黒沢光弘監督(52)は「力の差はあっても意思統一すれば勝てる。花園では大きな武器になるトライの1つのパターン」とドライビングモールに自信を見せた。

 前半22分、SO横田祐哉(3年)が右ひざを痛めて途中退場。BK陣の窮地にFW陣はさらに発奮し、得点を重ねた。後半10分には、高校日本代表のNO8加藤広人(3年)が敵ゴール前7メートルの右ラックからターンオーバーしたボールを相手DF3人をかわして中央トライ。同23分にもハーフラインからターンオーバーし、左中間に約40メートルの独走トライを決めた。加藤は「最初の入りが硬かった。次はBKも絡めて最初からいきたい」とエンジン全開を誓った。

 目指すはFWとBK一体のリズム感あふれる展開ラグビー。TBもこなし、FW、BK双方の気持ちを知る村井は「運動量で負けないようにしたい」と高校ラガー憧れの元日ラグビーを見据えた。【佐々木雄高】