<高校ラグビー:東福岡35-0尾道>◇2回戦◇30日◇花園

 東福岡がまたひとつ強さを身につけて、花園頂点へ好スタートを切った。前回大会はベスト8。春からDF向上を重点課題に取り組んだ成果を見せて、前回大会で1点差の辛勝だった尾道(広島)を完封しての発進。3連覇経験の王者が復活を誓った。

 大きな武器を証明してみせた。東福岡が違う「強さ」を身につけ、初戦を快勝した。自慢の展開ラグビーで、立て続けにトライを奪う姿ではない。がっちり守りきっての完封発進。横綱のように、まずはがっちり相手の攻撃を受け止め、反撃開始とばかりに一気に勝負をつけた。

 前半は7-0。わずかなチャンスをものにしての1トライだったが、守りに回ることが多く「劣勢」と思われる内容だった。相手の尾道は前回大会3回戦で21-20と苦戦を強いられた相手。しかし選手たちには、なんの不安もなかった。WTB東川主将は振り返る。「前半は守っていこうと言っていたし、みんな余裕があった」。藤田監督も「前半は我慢だと。想定内でした。ボールが動きだしたら徹底的に攻める作戦だった」。3連覇した王者らしく、ひとつも慌てることがなかった。

 前回大会は8強。今年の選抜大会は予選リーグ敗退。屈辱からのスタートで、身につけたのはDFの力だった。東川主将は「それからウエートとかやって、強豪と渡り合えるようになった。DFは自信がある」。1年生のときに3連覇達成のメンバーだった男が鉄壁の守りを自慢した。

 スタンドでは谷崎重幸前監督(現法大ラグビー部監督)が見守った。勝利の報告をした東川主将は「守りもいいけど、アタックもガンバレと言われました」。藤田監督は「選手にはまだまだ伸びシロがある」と強調する。鉄壁の守りだけでない。その強さは花園で、さらに進化する。【浦田由紀夫】