<高校ラグビー:東海大仰星69-5仙台育英>◇2回戦◇30日◇花園

 7大会ぶり3度目の優勝を狙うAシードの東海大仰星(大阪第1)が仙台育英(宮城)に快勝した。主将でフランカー野中翔平(3年)は欠場。調子の上がってきている大塚憂也(3年)が代わりに出場し、2トライで貢献。全員ラグビーで初戦を突破した。

 東海大仰星がチーム一丸で初戦を突破した。主将のフランカー野中が欠場したが、計11トライで圧勝。代役の大塚が大活躍した。前半7分に先制トライを奪うと、後半12分にはSH米村、SO山田一からパスを受け取って中央へ、この日2つ目のトライを決めた。大塚は「主将が抜けても戦力が下がらないチーム。控えの選手はいつ出てもいいように、意思統一できている」。前日に先発出場を知らされたが、準備は万全だったという。

 欠場した野中は今夏に右膝などを負傷し、離脱していた期間があった。よりフィットしていた大塚を先発起用した湯浅大智監督(32)は「主将が控えに回っても戦える自信をつけることができた試合だった。初戦でしっかりと力も示せたと思う」と手応えを得た。

 日々の練習は1年から3年の計128人が合同で行っている。主力メンバーとそれ以外という分け方をしないのが伝統。9月までの練習試合では出場回数を数える「正」の字をつけて3年生を中心に均等に出場させた。長い目で見て練習試合の1勝にこだわりすぎず、チーム力を格段にアップさせた。これが今大会の優勝候補として期待される選手層の厚さにつながった。

 2度の優勝を誇る土井崇司総監督は強豪校の監督らに「そういうチームじゃ優勝できへんぞ」と言われたことがあった。しかし部活動は高校教育の一環。選手に優劣はつけないというポリシーがあった。その思いは教え子で99年の初優勝時の主将だった湯浅監督に引き継がれた。湯浅監督は「常に教育であるということを考えている」と口にした。

 今年の目標は感動を与えるラグビーで日本一になること。野中主将は「60分間見ている人を喜ばせることができるラグビーをしていきたい」と意気込んだ。総力戦で7大会ぶり3度目の優勝に挑む。【辻敦子】