<高校ラグビー:東福岡30-24大阪朝鮮高>◇準々決勝◇3日◇花園

 王者復活だ!

 東福岡が昨春の全国選抜大会4強の大阪朝鮮高(大阪第3)を接戦の末に破って、4強入りを果たした。2点を追う後半21分、PGで逆転すると同28分にダメ押しのトライ。3連覇を達成した11年度以来、2大会ぶりのベスト4進出となった。明日5日の準決勝で東海大仰星(大阪第1)を破り、王座返り咲きを狙う。

 王者の風格が戻っていた。息詰まる接戦にも冷静さを失うことがなかった東福岡が、最後に笑った。4連覇を狙った前回大会は、まさかの8強止まり。合言葉だったリベンジを果たした。WTB東川主将は「相手は強かった。1つのチャンスをものにした方が勝ちと思っていた。取れるときに取ろうとみんなで言ってた」と、1年生時に味わった花園の頂点を思い出しているかのように声を弾ませた。

 PGで逆転したのは後半21分で、それでも点差はわずか1点。まだ、どう転ぶか分からない状況で「うまさ」を見せた。敵陣でボールを奪っても、無理に攻めない。ラックの連続でボールをキープし続けた。ミスもない。残り10メートルまで押し込んでも、FW陣だけで、じっくりじっくり攻めた。まるで相手の焦りを誘うように…。そして終了間際の後半28分、相手のタッチを狙ったキックがミスとなってマイボールにすると、得意の展開力を駆使した。WTB東川が右サイドのライン際を突破。最後はフォローにきていたSH中島にパスしてトライ。大阪朝鮮高を沈めた瞬間だった。

 藤田雄一郎監督(41)は言う。「東川はもともとCTB。ライン際が強いんでWTBにしている。うちはCTBが3人いるようなもんなんです」。175センチ、80キロの東川も振り返る。「相手FWは強かったが、DFラインは甘かった」。ステップとスピードというより、相手を引きずりながらでも突進するWTBが、最後の「ワンチャンス」をものにした。

 ダメ押しトライを決めたSH中島は、実は中学1年までフランカーだった。「(SHとして)早いパス出しのために常にボールの近くにいようとしただけです」と謙遜したが、幅広い経験から、SHとは思えない動きを披露。層の厚い攻撃を生む東福岡の強さが最後に生きた。

 「選手たちは昨年のベスト8を超えることを目標にしてきた。それを達成できたので、あとは1日ゆっくり休ませて、準決勝は選手たちの好きにやらせます」。藤田監督の口からも白い歯がこぼれた。準決勝の相手は、3連覇達成の決勝で破った東海大仰星。強敵を蹴散らし、フェニックス(東福岡ラグビー部の愛称)が、その強さをよみがえらせる。【浦田由紀夫】