ジャパニーズ・ドリームに燃える男が岡田阪神のカンフル剤になる。育成選手バルディリスが支配下登録契約を交わした。さっそく敵地名古屋に乗り込むチームに合流。きょう3日に1軍登録される予定だ。

 「本当に興奮している。1軍でプレーできる機会を与えてくれたチームに感謝している。全力でプレーしたい」。ベネズエラ出身で母国語はスペイン語。たどたどしい英語で喜びを表現した。

 中日、巨人、横浜と続く9連戦。歴史的な開幕ダッシュを果たしたが、不安要素が表面化しつつある。金本の不調や5番不在の現状。打線は低調で前日1日のヤクルト戦では1安打完封負けを喫した。1・5ゲーム差に迫る中日は好投手がそろい、敵地で首位陥落の可能性もある。そこで新戦力を招集した。バルディリスはウエスタンで17試合に出場。中南米の選手独特の全身バネのプレースタイルで、打率3割2分7厘、リーグトップの5本塁打を記録した。本職は三塁だが、一、二塁も守れる器用さがある。契約に同席した南球団社長は「身体能力は素晴らしいものがある。びっくり箱のような活躍をしてくれたら」と期待した。

 スタメンデビューは5日が濃厚だ。中日の先発は左腕小笠原が予想される。3月15日の教育リーグで来日初アーチを放った好印象の相手だ。今季の打線は先発左腕と8試合対戦し、チーム打率2割3分と苦戦。岡田監督は起用法を明言しなかったが、「ファームで結果を残しているわけやから。右(打者)やしな」とサウスポー対策を示唆。いきなり「5番三塁」というサプライズ出場の可能性もある。バルディリスはこれまでも1軍戦をテレビ観戦しチェックしていた。「中日はいいチームだ。(2軍で)ホームランを打っているが、そんなことよりも、いいスイングをしたい。できるだけのことをしたい」。

 故郷ベネズエラにいるバルヴィン夫人(25)にも電話で吉報を伝えた。「とてもハッピーなことね」と夫婦で喜びを分かち合った。夢の実現はこれからが本番。フレッシュな力で、快進撃はまだまだ続く。【田口真一郎】