巨人原辰徳監督(50)が26日、来年3月に行われる第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表監督の最有力候補に浮上した。北京五輪監督の星野仙一氏(61)が固辞するなど混迷する監督人事は、27日のWBC体制検討会議で方向性が定められる予定。会議のメンバーの中では日本シリーズを制した監督が就任する案を推す声が強くなっており、経験の浅い西武渡辺久信監督(43)が難色を示していることから、実績、経験を持つ原監督に白羽の矢が立つ可能性が高くなってきた。

 クライマックスシリーズで中日に完勝し、昨年の雪辱を果たした原監督が、今度はWBC監督人事の中心としてスポットを浴びる。最有力候補だった星野氏が22日に辞退を表明し、長期化の様相を見せてきたWBC監督問題。だが中心となっている加藤良三コミッショナー(67)は、あくまで今月中に決着させる姿勢を崩していない。27日のWBC体制検討会議で、ある程度の方向性を出すことは確実とみられる。

 その際にベースとなるのは「日本一監督」案だ。15日の第1回会議では「現役監督は難しい」との意見が大勢を占めて星野氏が最有力となったが、星野氏が辞退の意向を示したことで、会議の各メンバーは日本一監督の就任に肯定的な姿勢を見せ始めた。王貞治コミッショナー特別顧問(68)は「一番文句が出ないのは日本一監督だろうが…」と可能性に言及。ヤクルト高田監督は、星野氏が辞退を表明する前から日本一監督案を挙げている。

 現状で日本一監督となる可能性があるのは西武渡辺監督と巨人原監督の2人。だが渡辺監督は再三にわたって自身の就任には否定的な姿勢を示している。リーグ優勝を飾りクライマックスシリーズも制したとはいえ、今年が監督1年目という経験の浅さは否めない。発展途上の監督が2年目の開幕直前にチームを離れることに「シーズンを控えた中でそこまで頭が回らないのでは」と強い戸惑いを見せている。

 原監督はこれまでWBC監督問題について語ってないが、選手の状態を見極める2、3月にチームを離れることには難色を示しているといわれている。だが渡辺監督と比べて、2年連続リーグ優勝や02年には日本一の経験もあり、監督としての実績は一歩も二歩も上を行く。加藤コミッショナーは今月中に決める姿勢を見せていることから、シリーズ前に打診するとなれば原監督に白羽の矢が立つ可能性が高い。巨人滝鼻オーナーも困難の多さを指摘しつつも「光栄なこと」と「原ジャパン」について語っている。会議の議論と原監督の意向が注目される。