ロッテは21日、来季が4年契約の最終年となるボビー・バレンタイン監督(58)に対し、2010年以降は契約を結ばないと通告し、その後発表した。16日に重光武雄オーナーと重光昭夫オーナー代行、瀬戸山隆三球団社長が3者会談を行い、球団運営についてフロント、現場ともに「改革」する方針で一本化。04年から続いた第2次バレンタイン政権にも区切りをつけることを決めた。シーズン前から監督の退団が決まるのは異例。後任には若手を起用する方針で、時間をかけてリストアップ、絞り込み作業に入る。

 電撃発表だった。瀬戸山球団社長が千葉マリンで神妙な表情で口を開いた。「バレンタイン政権は来年までとなりました。来年がラストイヤーとなるので、有終の美を飾ってほしいと監督にお伝えしました」と、異例の通告を発表した。

 今季終了後の球団納会で、重光オーナー代行が10年以降のバレンタイン監督との契約について「来年の成績やファンの声を聞いてから決める」と、契約延長も示唆していた。だが、今月15、16日の2日にわたって行われた球団幹部会議で一転した。「3年後、5年後のことを考えて球団の軌道修正が必要。今から大改革に取り組む」との方針を固めた。チームの若返りと赤字削減を2本柱としてテコ入れを図ることになり、その第1歩として同監督と契約が切れる10年以降の契約を結ばないことで一致。同社長は「年明けに米国へ行って監督に説明しようと思っていたが、今回来日されたので球団の方針を早く伝えた方がいいと判断した」と説明した。

 この決定に最も驚いたのは、他ならぬバレンタイン監督本人だった。そもそも来日の理由は、FA資格を持つ韓国リーグ・斗山の金東柱について、球団の了承を得ないまま身分照会したことをフロント陣に謝罪するためだった。19日に緊急来日し、この日の午前中に球団側と初会談。その席で予想外の契約満了に伴う退団を知らされた格好だ。

 バレンタイン監督は「サプライズ!

 この5年間でチームが強くなり、観客動員は400%増という結果を出したのに、そのすべてを変えるということに驚いた。ただ、球団のために私がいなくなった方がいいようなので、この決断に賛成するということです」と、吹っ切れたように話した。9月には、契約延長を求めてフロント陣との対立を表面化させたこともあったが、この日は円満を強調。「来年は選手、ファンとともに過ごす最高の1年にしたい」と前向きに話した。

 同監督は05年にロッテを31年ぶり日本一へ導き、通算6年率いたうちAクラスが3度あり、人気も高い。後任監督については、チームの若返りと同様に若手を起用する方針だ。同社長は「まだ何も決まっていない。世代交代して新しいものを取り入れていくのが組織というもの」と話し、まずはリストアップ作業に入る。

 [2008年12月22日8時41分

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