中日岩瀬仁紀投手(35)が9日、鳥取のトレーニングジム「ワールドウィング」で自主トレをスタートさせた。初投げを行い、S字の軌道を描きながら落ちる新球「スランカー」の習得を目指すことを明かした。右打者に対して有効な球で、スライダーの軌道からシンカーの軌道に切り替わる謎の落ちる魔球。「実戦で投げられるよう、いろいろ握りを試していきたい」と、オープン戦でも積極的に試し、新たな武器にするつもりだ。

 右打者を封じるための新たな秘策だった。この日、名古屋から自主トレのために鳥取入りした岩瀬が、昨年11月以来、約1カ月半ぶりとなるキャッチボールで、相手を座らせていきなり新球を披露。「新しいボールも見つけていかないといけないから。初日としては良かった。握りはいろいろ試していくよ」と、開幕までの習得を誓った。

 岩瀬が投じたのは既存の球種にはない、新たなものだった。右打者の胸元に食い込んでくるスライダーのような軌道が途中で真逆に切り替わり、今度はシンカーのように逃げながら沈んでいく。まさに謎の魔球「スランカー」。右打者はスライダーと思って腰を引いた瞬間、軌道が変わり、ボールはS字を描くように逃げて落ちていく。まさに、右打者をあざむく球筋だ。

 「右バッターに投げるイメージです。試合で使えなければ投げないけど、今は試せる時期なんで、その中でどこまで完成度を上げられるか。オープン戦でもどんどん試していきたいし、打者がどう反応するか、野手の人にも話を聞いたりしてやっていく」。

 昨年1月も自主トレ中からオープン戦にかけて、落ちる変化球を習得しようとしたが、納得いくまでには至らず断念した。だが、昨年はシーズン終盤に原因不明の右腕のしびれで調子を崩し、納得の1年を送れなかった。今年は1年を通じて本来の力を発揮したいという思いが強い。そのためにも新球を手にし、打者を打ち取る引き出しを増やしたかった。

 今季の目標は4年ぶりのリーグ優勝。「優勝から遠ざかっているので、今年こそ優勝したい。ある程度、今年に関してはやれる感触はあるし、1年間しっかりチームに貢献できるようにね」。まだまだ老け込むのは早い。プロ12年目を迎える岩瀬はさらなる進化を遂げ、オレ竜の守護神として君臨する。【福岡吉央】

 [2010年1月10日10時44分

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