楽天マーティー・ブラウン監督(47)が19日、魂の訓示を行った。チームは20日のオリックスとの開幕戦を前に、京セラドームで全体練習。冒頭、全選手、スタッフを集め、軒なみ低調な評論家のチーム順位予想について「みんなで予想をやっつけよう」と熱っぽく説いた。温厚な指揮官が感情をあらわにしたのは、自軍への自信と信頼の裏返し。低い下馬評などひっくり返す。

 上気し、紅潮した顔が、陽気なブラウン監督得意のジョークでないことを物語っていた。

 ブラウン監督

 ここまで1日1日、しっかりやってくれてありがとう。普段新聞は読まないんだが、オレは今日の予想が気にくわない。みんなで予想をやっつけよう。

 円陣の輪からほんの少し乾いた笑いが起こったが、すぐ止んだ。「ガチだな」。空気を読んだナインは指揮官の言葉に聞き入った。

 ブラウン監督

 万が一5位でシーズンが終わるようなことがあったら、オレはみんなの前で土下座する。

 前日、野村名誉監督が今季のパ順位を予想。昨季まで率いた楽天を5位とした。評論家の見立てもこぞってBクラスの評価。どうしても納得いかなかった。

 胸を張って船出する。全員元気に開幕前日を迎え全体練習を終えた。キャンプから故障者が皆無で、描いたとおりに1軍ロースターを選んだ。「このチームの選手には非常に強いキャラクターと、気持ちがある。私が仮に第3者でも、楽天の1位にかける」。カリスマ野村克也の後を受け、手探りで新天地に飛び込んだ。選手は方針を理解し、離脱せずについてきてくれた。だから下馬評が許せなかった。

 岩隈、田中、永井で開幕3連勝をもくろむ。「岡田監督がもし、登板順が分からないのであれば、ウチはこの順番です」と堂々としていた。広島監督時代の4年間、開幕戦は3勝1分け。だが「欲を言えばスタートダッシュを決めたいが」とし、こう続けた。「毎試合勝利にこだわって、戦争のように、1つになって戦おうと伝えた。他の誰が何と言おうと気にならない。選手を信じている。それがすべてだ」。低評価が導火線となり、新生楽天の闘争心はいきなりレッドゾーンに入った。【宮下敬至】

 [2010年3月20日8時41分

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