<オープン戦:中日1-4DeNA>◇22日◇ナゴヤドーム

 中日高木守道監督(70)が、ドラフト1位高橋周平内野手(18=東海大甲府)の開幕1軍を決めた。オープン戦の打率は1割2分だが、10年に1人と言われる逸材に、1軍で英才教育を施す考えだ。中日の高卒新人野手の開幕1軍は88年立浪和義以来24年ぶり。同3位田島慎二投手(22=東海学園大)も開幕1軍が内定した。竜の新顔が開幕ダッシュに弾みをつける。

 ここ5試合、19打席でヒットはわずか1本。2試合の2軍戦を経て1軍に再合流したこの日も2打数無安打。高橋周のオープン戦打率は1割2分まで落ちた。2軍に降格しても当然の成績。だが、竜の将の決断は晴れの開幕1軍だった。

 高木監督

 よほどなことがない限り、上でやらそうと思ってます。そうそう出てくる新人でもないし、代わる若手もいない。何とか(1軍で)できるなら、させなあかんと思っている。

 球団史上、高卒新人野手の開幕1軍は88年立浪以来、実に24年ぶり。前評判にたがわぬ勲章だ。

 ただし、キャンプから猛威を振るった打棒はここへ来て急降下。プロの壁にぶち当たったとも言える。それでも開幕1軍なのか。2軍でフル出場して経験を積む選択肢もあるのではないか。指揮官は首を振った。

 高木監督

 戦力としてあてにしてない。でも下より上でやる方がいい。上でやるには上のプレーを覚えないといけないから。打てんなら守りからでもいい。駆け引きとかいろんなことを見て経験して覚える。そうやって、うまくなる方法もある。

 守道流の英才教育だった。1軍28人枠の貴重な1つを金の卵のふ化に空ける。食うか食われるかの勝負の世界を考えれば、普通そんな余裕はない。だが指揮官はあえて、“育てながら勝つ”難しい道を選んだ。すべては10年に1人の逸材と見込むから。必ず壁を破り、壁さえ破れば大戦力になると確信するからだった。

 高木監督

 今は(キャンプからの)疲れがたまっている中で、いいローテ投手に当たってタイミングを狂わされている。代打で計算して出せんか、守れんかとか期待を持って見てます。

 もっとも高橋周に笑顔はない。不振での開幕1軍は素直に喜べなかった。試合後は客が帰ったドームで30分、居残り特打を敢行した。

 高橋周

 何も気にしないし、変わらないです。でもバッティング練習は調子がいいんで。また頑張ります。

 だが進路が定まり、気持ちの整理はついたはずだ。開幕まで残り3試合。無駄な打席は一つもない。そして完全復活で一日も早く戦力となり、監督の決断を正解にしたい。【松井清員】

 ▼高橋周平が開幕1軍メンバーに入れば、中日の高卒新人では88年立浪和義(PL学園)以来24年ぶり。立浪は4月8日の開幕戦大洋戦(ナゴヤ)に「2番・遊撃」でフル出場し、6回にはプロ初安打となる二塁打を放った。昨年はオリックス駿太が高卒新人では12球団唯一の開幕ベンチ入りを果たしている。