<DeNA6-1ロッテ>◇20日◇横浜

 文句なしの1発だった。DeNA筒香嘉智内野手(20)は右翼席中段に飛び込む打球を見届けながら、走りだした。3点差となった直後の6回。10試合ぶりの3号ソロは、貴重な追加点をもたらした。「完璧に近い当たり。今まで打てていなくてチームに迷惑をかけていたので、本当に良かった」と照れた。

 打線に勢いをつけた。1回1死一塁から膝元へのスライダーを「うまく反応できた」と、右中間にはじき返す先制の適時二塁打。ラミレス、中村との初めてのクリーンアップ“そろい踏み”打点の着火剤となり、大量4得点につなげた。

 イメージ通りの打撃ができた。対戦投手をイメージし、試合前の打撃練習に臨む。入団1年目から繰り返してきたことだ。「バッターボックスに立って投手をイメージしてバットを振ってましたね」。誰もいない2軍の横須賀ベイスターズ球場で、たった1人で打席に立ち、素振りを繰り返した。夜中でも黙々と振り続ける姿に、当時の田代2軍監督(現楽天2軍打撃コーチ)は「あんな選手初めて見た。絶対出てくると思ったよ」と活躍を確信したという。

 唐川に対しイメージしたのは、「(スイングの始動が)遅れないこと」。手元で伸びるボールに振り遅れないように対応するため、ステップする右足の早めの始動を意識。軸足である左足の付け根にしっかり重心を残すことで、軸がぶれずに対応できる。6回のアーチは悔しさもぶつけた。前の打席で併殺打に打ち取られた「直球を狙って」振り抜いた一打だった。

 先発した三浦からは「1人で4点取れ」と、げきを入れられて臨んだ。2安打2打点で「今日は2点足りなかったので次頑張ります」。その顔には、確かな手応えがにじんでいた。【佐竹実】