オリックスが、ソフトバンクへのFA移籍が決定的な寺原隼人投手(29)の人的補償として、松中信彦外野手(38)に興味を持っていることが22日、明らかになった。今日23日に寺原との交渉に向けて、村山球団本部長は「残留してほしい気持ちは変わっていない」と話したが、流出は避けられない情勢。球団では当然のリスクマネジメントとして、年俸Bランクの寺原が流出した場合に、人的補償を選択する見通し。28人のプロテクトから外れた選手に関しては、高額年俸でもちゅうちょしない方針を固めた模様だ。

 38歳の松中は、今季は65試合出場で打率2割2分1厘、4本塁打、13打点だったが、04年には3冠王に輝いた球界を代表する左の長距離砲だ。球団はレイズをFAになった松井の調査を行うなど、DHを任せられる左打ちのスラッガーが補強ポイントとしている。今オフには10億円規模の補強予算を組んでおり、松中の年俸2億円(推定)も大きな障害にはならない。

 森脇監督は、ソフトバンクで指導者としてのキャリアを積んできた。10月8日の監督就任後は「小久保や松中は本当によく練習していた」と例に挙げて、若手の手本となるベテランの必要性を口にしている。球団は寺原との交渉に全力を尽くすが、最悪の事態も想定。「聖域」を作ることなく、ルールにのっとって人的補償を最大限に生かす構えだ。