阪神藤井彰人捕手(38)が20日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、2200万円ダウンの年俸4500万円で更改した。年俸1億円以下での減額制限25%を超える約33%ダウンにも「当然の評価だと思う」と一発サイン。正捕手を奪い返す覚悟を言葉に込めた。

 今季は右肘痛、右足痛の影響もあり、わずか34試合出場で打率2割1分5厘に終わった。「今年はケガでほとんど野球をやっていない。1年間上にいたいとか、そういうことを(来季)39歳が言ってはダメ。与えられた仕事をこなせるのがベスト」と冷静に役割を認識しながらも、先発出場について「そりゃあ、こだわりますよ」と言い切った。

 チームが激しく優勝を争うシーズン終盤、鳴尾浜で黙々と汗を流した。引退の2文字も頭をよぎったと言う。「正直、最後ファームにいる時は、ちょっとチラついた。そういう日が来るのかなと考えた。でも来年野球をやらせてくれるということなので、しっかり体を作って頑張りたい」。最後まで厳しい表情を崩さず、会見を締めくくった。

 経験に裏打ちされた安定感抜群のリード、巧みなキャッチング、勝負強いバッティング…。力はいまだ一線級だ。その証拠に、今年もっとも重圧がかかった日本シリーズに全試合出場。5試合のうち、3試合でスタメンマスクをかぶった。「来年、いろんな意味で見返したい」。チーム最年長の目は、若虎に負けず劣らずギラついたままだ。【佐井陽介】