アラフォーには負けない。横浜工藤公康投手(45)が9日、横浜市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、減額制限40%を大きく超える55%、6000万円ダウンの年俸5000万円プラス出来高払いでサインした。28年目の来季、5月に46歳を迎える。実に50年の浜崎(阪急)湯浅(毎日)以来59年ぶりの46歳以上の選手になる。今季は左ひじの負傷で84年以来の未勝利に終わった「ハマのおじさん」が、来季は勝利にこだわって復活を期す。(金額は推定)

 会見の席に着いた大ベテランが、珍しく自らの勝利に色気を見せた。

 工藤

 来季の個人的な目標?

 あまり自分の勝ち星を考えたことはないけど、勝つことにこだわってやっていきたい。若い人も含め競争になる。自分自身アピールして、1試合でも多く勝って、まだまだ46歳になっても元気だというところを見せたい。

 プロ27年間で、歴代13位の通算222勝。11度の日本一を経験し、数々の栄光を手にした左腕は「オレの勝ち星なんて、どうでもいいんだ。チームが勝てばいい」が口癖。それが、自分の白星に言及した。

 工藤

 (自分が)勝つことがチームの白星になる。1試合1試合勝つことにこだわらないといけないんじゃないかと。今年は勝てなくて、チームに貢献できなかった。こだわる部分が必要ではないかと思った。

 昨オフに手術した左ひじの影響もあり、今季は白星なしに終わった。85年以来続けてきた連続勝利年数は23年でストップ。ファンの期待を裏切った悔しさ、情けなさが募った。「言葉にして、自分により強く刻み込もうということ」と自らにプレッシャーをかけた。

 来年5月で46歳を迎える。楽天野村、中日落合両監督の現役最終年齢を超える。46歳以上のプロ野球選手は実に59年ぶりだが、気負いはない。「いろいろ考えることはあるけど、要は、マウンドに上がれば19歳も46歳も変わらない」。積み重ねた自信もある。「長くやればやるほど、感じる部分もある。いい経験をしてます」と笑顔を見せた。

 減額制限を超える大幅減俸にも「今年は働いていない。何があってものもうと思いました」と納得の一発サイン。最近、読んだ本にあった禅の教え「前後裁断」に共感したという。「過去を悔やむより、先を不安に思うより、今あることを考える。今の僕には似合いの言葉です」。今ある先に、復活の白星が待っている。【古川真弥】