ホスト国の横暴?

 に非難の声が上がった。WBC米国代表は2日(日本時間3日)、救援右腕デービッド・ヘルナンデス(27=ダイヤモンドバックス)の追加登録を発表した。負傷で出場辞退した右腕ペレス(インディアンス)の代替選手だが、実は、このヘルナンデスは米国と同じ1次ラウンドD組のメキシコ代表の登録選手だった。8日(同9日)の初戦で顔合わせるライバルから「強奪」する形となった。

 不可解な動きがあったのは前日1日(同2日)だった。ダ軍の同僚のジーグラーがツイッターで明かした内容によると、ヘルナンデスに対して大会関係者から「出身者の世代が離れすぎているので、メキシコ代表では出場できない」と連絡が入ったという。そのタイミングで、米国はペレスの負傷辞退を発表。ヘルナンデスは「米国に投げるのを楽しみにしていたから悲しい気分」と複雑な思いで、米国からの要請を受けた。

 ヘルナンデスは米国籍だが、曽祖父母が同国出身のメキシカン4世。「当該国がパスポートを許可し、主催者に書類を提出して認められれば」という出場資格の条項があるWBCでは、3世や4世選手が代表に入るのも珍しくはなく、ヘルナンデスも問題なくメキシコで登録されていた。

 メキシコは2年連続70試合以上に登板したタフネス右腕にセットアッパーを託す予定だった。大会直前に、ライバルの主力を奪うようなやり方には米メディアも眉をひそめる。FOXスポーツは「ルール違反すれすれの行為。WBCで勝つために、そこまでしてプレーすべきではない」と非難した。選手層の厚い米国は代替候補は多く、ライバル国の「戦力ダウン」を狙った可能性もある。まだ開幕前のD組で、両国の遺恨騒動が勃発した。

 ◆選手のWBC出場資格

 (1)当該国の国籍を有す(2)当該国の永住資格を有す(3)当該国で生まれた(4)両親のどちらかが当該国の国籍を有す(5)両親のどちらかが当該国で生まれた、のいずれかを満たせば出場OK。また(6)国籍と永住資格がなくても、当該国の法にのっとり申請して認められた場合、証明書類を提出してWBC主催者の許可を得たら出場できる、という項目もある。(6)のケースは幅広く適用運用され、最終的には辞退したが中国系パナマ人の左腕ブルース・チェン(ロイヤルズ)は中国代表に内定していた。