今から6年ほど前、「サンデー、マンデー、チューズデー♪」という軽快なメロディーのコカ・コーラのCMソングを覚えていらっしゃる方も多いと思いますが、その「ハッピー・レーン」でブレイクし、日本でメジャーデビューも果たしたLAを拠点に活躍するLayla Lane(レイラ・レーン)のボーカル/ギターのHeday(ヒデ)にデビューまでの軌跡などを伺いました。2回に渡ってロングインタビューをお届けしたいと思います。

 レイラ・レーンはヒデとボーカル/ピアノのValerie(ヴァレリー)による「日本」と「アメリカ」、そして「ロック」と「クラシック」という異なる2つの文化が融合した異色のユニット。ロサンゼルスを拠点に日本でもライブ活動を行うなど、注目のアーティストです。

 ヒデは2001年にロサンゼルスに留学し、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でクラシックギターを学び、卒業後はソロとして活動を開始。元ビートルズのリンゴ・スターや名ドラマーのジム・ケルトナーらとの共演経験もあるアーティストです。一方のヴァレリーは幼少の頃からクラシックピアノを学び、名門私立大学USC(南カリフォルニア大学)を卒業し、LA交響楽団との共演などの経験もあるピアニスト。そんな2人が出会ったのは2008年、友人宅のパーティーでした。当時ソロ活動をしていたヒデがピアノのレコーディングをヴァレリーに頼んだことがきっかけで、バンドを結成することになったのだといいます。

 「ヴァレリーと出会った頃はクラシック漬けの毎日で、クラシック音楽をどうやってロックに活かすか考えている時期でした。自分と同じようにクラシック音楽をちゃんと勉強していて、言語が通じる人は必須だったので、ヴァレリーはぴったりだったんです。策略でそのまま巻き込んでしまいました(笑)。ビートルズの大ファンですが、それと同じくらい好きなのが60年代に活躍した『夢見るシャンソン人形』を歌っていたフランス・ギャルなんですが、ヴァレリーのイメージとすごくカチッと合ったんです。フランス・ギャルとビートルズは同じ時代にヨーロッパで活躍していたにも関わらず、1度も交わっていないんです。だから、ヴァレリーと会った時にビートルズとフランス・ギャルが交わったらどんな風になるのかなと思いました。それがそもそものレイラ・レーンの始まりですね」

 レイラ・レーンというバンド名には特に意味はなく、音の響きが良いから決めたのだとヒデ。その後、せっかくユニットを組んだのでヴァレリーを日本に連れて行って、ライブをしたいと思ったことがきっかけで、コカ・コーラのCMソングに起用されるビックチャンスをつかんだのだといいます。「日本の人たちにもヴァレリーを見せてあげたくて、一緒に日本でツアーできるくらいの資金を集めようと、単身で日本に営業に出かけました。その時に友人で放送作家の倉本美津留さんの紹介でコカ・コーラの人とご飯を食べに行く機会がありました。自分がミュージシャンだとアピールするためにいつもギターを持ち歩いていたのですが、たまたまレストランに他に人がいなくて、歌ってくれと頼まれたので歌ったら気に入ってくれたんです。その後すぐにタクシーの中から、『CMソングやって欲しいのでもう1度会って話したい』とオファーをいただきました。昔からある童謡で、子供の頃にハルク・ホーガンがテレビで歌っていたあのメロディーを、ロック・パンクぽくアレンジして欲しいとリクエストされ、あの曲が出来上がりました。2010年3月にオンエアが始まり、その夏にエイベックスと契約をして日本でCDデビューも果たしました」

 順風満帆に見えるレイラ・レーンですが、実は危機的な時期もあったのだといいます。「バンドを始めても鳴かず飛ばずな状況で、友達を呼んでライブをやってもお金にならないので、ヴァレリーが半年ほど経った頃に『このままバンドやっていても生活できないし、先が見えないので辞める』と言いだしたんです。とにかく『半年だけ待ってくれ。俺たちはまだ全身全霊をこのバンドに注いでいないから、この6カ月間にあなたの持っているベストを注いでみて何も起きなかったら、その時はそういう運命だから辞めよう。でも半年は頑張ろう』と何の根拠もないまま説得したんです。そんな中でコカ・コーラのCMは本当にギリギリのタイミングで決まった話しで、まさに運命だと思っています」

 レイラ・レーンは今後もロサンゼルスを拠点にアメリカでも楽曲を発表して発信して行きたいとヒデ。ソーシャルメディアでも活躍中で、ツイキャスは日本のファンの間でも人気を博しているといいます。「始めた頃は5人くらいしかビューアーがいなくて細々とやっていたのですが、続けるものですね。ある日を境にいっきにファンが増え、今では2時間の間に2000人くらいは普通に見に来てくれます。昨年はロサンゼルスで一緒にライブをさせてもらったサンプラザ中野くんにも登場してもらいました。ソーシャルメディアは国境を越えて発信できるツールなので、これからも活用していきたいと思っています。

 ツイキャスはhttp://twitcasting.tv/laylalaneheday。フェイスブック(https://www.facebook.com/laylalanemusic)でも情報を発信しているので、合わせてチェックしてみて下さいね。

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