映画「アビエイター」などで知られるマーティン・スコセッシ監督(73)が19日、都内で映画最新作「沈黙-サイレンス-」(来年1月21日公開)を前に来日会見を行い、出演する窪塚洋介(37)浅野忠信(42)とともに登壇した。

 遠藤周作の小説が原作で、同監督が初めて原作を読んでから27年間、構想を温めてきたという。「このストーリーをどう物語っていくか、どうメッセージを伝えるか、長い年月をかけた」。06年に脚本を書き終わった後も、作品の権利問題で撮影が頓挫しかけたが、昨年5月にようやくクランクアップを迎えた。

 窪塚、浅野をはじめ塚本晋也、小松菜奈ら日本人キャストは全員、オーディションで選ばれた。ハリウッド映画初挑戦となった窪塚は「ハリウッド作品が初めてなので、ほかと比べるものがない。」と驚いた。クランクインの日には、スコセッシ監督がスーツ姿で地面に寝転がりそうな体勢で演技指導している姿を見て、「情熱を持ってやっておられる。メラメラな人なんだなと思った」と振り返っていた。浅野も「撮影中も、僕らの心から(演技が)出る瞬間を待っていてくれた」と、同監督の粘り強い演出に感心していた。

 会見前には、完成前のダイジェスト映像が世界初公開された。約300人の報道陣は録音、録画等が禁止され、上映中は携帯電話、パソコン、カメラ等を収納するよう求める厳重ぶり。場内では6人の警備員が暗視スコープで不正をチェックするなど、記者会見らしからぬピリピリムードが漂っていた。