引退したスポーツ選手が悲惨な生活を送っている例は少なくない。「ガッザ」の愛称で親しまれ、その天才的なテクニックでファンを魅了した元イングランド代表MFポール・ガスコイン氏(47)は、アルコール依存症で、たびたび警察の世話になっている。

 8月21日にも泥酔した状態で街中で発見され、警察によって病院へ送り届けられた。長年のひどい生活がたたり、皮膚はしわくちゃ。47歳なのに70歳くらいに見えるような風貌になってしまっている。

 現役時代との落差といえば、元アルゼンチン代表FWのガブリエル・バティストゥータ氏(45)が衝撃の告白をして、世間を驚かせた。アルゼンチンのスポーツメディア「TyC Sports」によると、バティストゥータ氏は医者に「両足を切り落としてくれ」と頼んだことがあるというのだ。

 同氏はアルゼンチン代表として78試合で56得点をマーク。またセリエAではフィオレンティナで269試合で168点を挙げるなど、計318試合に出場し、歴代11位となる184ゴールを記録した。185センチの体を生かしたパワフルなプレースタイルを、はっきりと覚えているファンも多いだろう。

 だが現役生活の中で、足首の故障を繰り返したことで、今では足首の軟骨、腱(けん)がまったくない状態になってしまったのだという。86キロの体重を支える骨と骨が直接触れるたびに足首に激痛が走るようになり、夜中に1人でトイレにも行けなくなってしまった。3メートル先のトイレに行くことができず、ベッドを小便でびしょびしょにしてしまったこともあった。

 悩みに悩んだバティストゥータ氏は、とうとう医師のもとへ出向き「両足を切り落としてくれ」と直訴した。義足のスプリンター、オスカー・ピストリウスを見た時に「私が苦痛から解放されるには、あれしかない」と思いついたのだそうだ。

 しかし「お前は頭がおかしい」と取り合ってもらえず、両足切断手術は受けることはできなかったという。ただ、今では右足首をボルトで補強することによって痛みは緩和され、「3年前よりはだいぶ良くなったよ」。

 バティストゥータ氏は05年の現役引退後、コーチ業にも意欲を見せていた。またアルゼンチンでポロの選手として活躍もした。だが足首の激痛のために、引退後の第2の人生も現在はストップしたようになってしまっている。なんとか、普通の生活ができるように回復してもらい、何らかの形で再びピッチに戻ってくることを祈りたい。