9年後のW杯の出場枠が一気に拡大される。国際サッカー連盟(FIFA)は10日、スイス・チューリヒで理事会を開催し、26年W杯(開催国未定)の出場チーム数を現行の32から48へ、16チーム増とすることを決めたと発表した。今後決まる各大陸連盟への割り当てで、アジアは現行の4・5から2、3枠は増えるとみられる。予選突破のハードルが下がることになり、日本にとっては朗報といえそうだ。

 W杯出場チームが26年大会で一気に増える。現行の32から1・5倍の48へ。FIFAがこの日の理事会で決断した。昨年2月のFIFA会長選で40チーム案を公約に掲げて当選し、収益増をもくろむインファンティノ会長はその後、48案を訴えるなど拡大に積極的だった。公平性や試合の質を維持する観点から、32が最良という意見もあったが、就任から1年もたたないうちにW杯拡大が決まった。同会長は「目的はサッカーの全体的なレベルの向上。(拡大で)世界的にサッカーへの投資が広まるだろう」とその意義を訴えた。

 今後決まる増加分の各大陸連盟への割り振りも、アジアの出場枠は現行、18年ロシア大会の4・5から2、3枠程度は増えるとみられる。関係者によれば、アジア・サッカー連盟(AFC)は、2・5枠増の7枠を希望しているという。

 現在開催中のW杯ロシア大会のアジア最終予選は12チームを2組に分けて行われているが、そのまま当てはめると、何と「12分の7」。実に過半数が本大会に出場でき、予選突破のハードルは一気に下がることになる。アジア全体のレベルアップ、ライバル国の突き上げを肌で感じている日本にとっては朗報といえる。

 大会は、まず3チームずつ16組に分かれ1次リーグを実施し各組上位2チームの計32チームで決勝トーナメントを行う。期間は現行の32日間を維持し、決勝進出チームが戦う試合数7も変わらない。出場枠増は、24から現行の32に増えた98年フランス大会以来。その大会で増枠の恩恵も受けW杯初出場した日本は02年の日韓大会も含め、14年W杯まで5大会連続出場中だ。

 新方式では、より多くの国・地域が参加でき、全体として放送権料などの収益増も見込める。FIFAがまとめた報告書では、18年ロシア大会で見込まれる収入より2割増し、6億4000万ドル(約736億円)の利益増との試算もある。一方、出場チームのレベルという競技の観点から、この決定を疑問視する声も根強い。

 FIFA理事の田嶋幸三日本協会会長のコメント W杯の価値は上がっている。利益を多くの国と共有したい。世界中が発展する。アジアの出場枠はこれから話し合うが、1つでも2つでも3つでも多くなってほしい。

 ◆開催地アジア以外 一気に拡大される26年W杯の開催地は未定だが、日本を含むアジアでは行われない。現行の32チームのまま行われる18年W杯はロシア、22年W杯はカタールでの開催が決まっている。カタールは日本と同じAFCに属しており、その4年後に再びアジアで開催される可能性はない。