リオデジャネイロ・パラリンピックで決勝進出を決めたボッチャ日本チーム4人の平均年齢は39歳だった。2日目に柔道男子60キロ級で銀メダルを獲得した広瀬誠は39歳で3児の父。日本人で唯一1次リーグを突破した卓球の別所キミヱは最年長68歳だった。他の競技でも40、50代の「中高年」の奮闘が目立つ。

 日本選手団の平均年齢は約34歳。五輪に比べて10歳ほど高い。障害を受傷、発症してから競技を始める人が多く、開始年齢が遅い。障害のある子どものスポーツ機会が少なく、若い年代の選手層が薄いなど理由はあるが、中高年アスリートが障害を乗り越えて世界最高の舞台で戦う姿は、世の中高年の刺激になる。これは日本にとって意義のあることだと思う。

 20年東京大会決定後、「東京世代」と呼ばれる若い才能が注目されてきた。しかし、東京の聖火にはメダル数よりもっと大きな使命がある。習慣的にスポーツに親しむ人を増やし、健康寿命を延ばす社会の実現だ。スポーツ庁の鈴木大地長官は昨年、「6年後に国民の65%が週1回スポーツをすることが目標」と話していた。同年の調査では40%ほどだった。

 特に高齢者予備軍の中高年の運動習慣は、健康な老年期を過ごす上で重要だといわれる。男女とも70代前半とされる健康寿命が延びると、高齢者の医療・介護費の削減にもつながる。スポーツは年齢や障害に関係なく誰もが楽しめるのだ。パラリンピックを見て、そう感じてスポーツを始める中高年が増えれば、日本にとっても有益だろう。

 ちなみにボッチャは脳性まひなどの重い障害がある人を対象にした競技だが、子どもから高齢者まで幅広く楽しむことができるスポーツでもある。適度に体と頭を働かせながら、障害者と健常者の垣根を越える。日本チームの活躍を見て、「やってみよう」という人が増えたらなら、メダルの価値はさらに輝きを増すことになる。【五輪・パラリンピック準備委員 首藤正徳】