被災地への思いを込めて舞った。1年間の休養を経て今季復帰した浅田真央(25=中京大)が9日、東日本大震災の復興支援を目的としたフィギュアスケート「NHK杯スペシャルエキシビション」(盛岡市アイスアリーナ)に出演。「踊るリッツの夜」、さらに震災直後のエキシビションだった「ジュピター」の新バージョンを披露し、その中で3回転半ジャンプ(トリプルアクセル)を跳んだ。

 浅田の代名詞と言える技だが、エキシビションに入れるのは異例だ。演技の後半、3回転半を踏み切り、やや乱れながらも両足で着氷。すぐに会場からは大きな拍手が湧き起こった。直近の試合、昨年12月の全日本選手権ではショートプログラム、フリーともに失敗しただけに、なおさら挑戦が際立った。この日2度目の公演では、見事に着氷した。

 演技直前のインタビューでは、被災地への思いを語った。「昨年は被災地で地元の方々といろんな話をしました。『また頑張って復帰してほしい』と言われたり、元気づけるつもりが、逆に元気をもらえたのかなと思います」。背中を後押ししてくれたお返し。それが3回転半ジャンプへの挑戦だったのかもしれない。白い衣装に身を包み、子どもらと祈るように舞う浅田は女神のように美しかった。【高場泉穂】