<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第6戦・ロシア杯>◇2日目◇26日◇モスクワ

 1度はあきらめかけていた。羽生結弦(16=宮城・東北高)は冒頭の4回転ジャンプで転倒した。ショートプログラム(SP)で最高難度のレベル4を獲得したステップでも「上体を使わなきゃと欲を出して、のけぞったら転んでしまった」。前半で大きなミスが2つ。だが、最後まであきらめない粘りが、奇跡を呼んだ。

 後半。思うように決まらなかった連続ジャンプだが、欲張りすぎてSP2位から4位に落ちた中国杯の反省を思い出し「冷静に考えながらできた」。3回転ループにだけ、2回転トーループをつける。この2回転が大きかった。掲示された総合得点では、2位のフェルナンデスをわずか0・03点だけ上回っていた。「つけなければ絶対に負けていた」。胸をなで下ろした。

 GP初優勝で、初めてのファイナル出場を決めた。開幕日前日の12月7日は、17回目の誕生日。「誕生日も近いし、初出場らしい思い切った演技をしていかないといけない」。若い力は、意欲満々だった。