<北海道マラソン>◇8月31日◇札幌市真駒内セキスイハイムスタジアム~中島公園

 北京五輪で惨敗したマラソンに新星が誕生した。女子は初マラソンで一般参加の佐伯(さはく)由香里(19=アルゼ)が、2時間31分50秒で初優勝した。高橋尚子らを育てた佐倉アスリートクラブ(AC)代表の小出義雄氏(69)が、地元千葉・佐倉市から発掘した無名選手。143センチ、31キロと「ミニマム級」の小柄な体で一躍、来年のベルリン世界選手権の候補になり、12年ロンドン五輪も狙える新星となった。

 男女同時開催のレースでは、男子選手に隠れてしまうほど小さな佐伯が、28キロすぎで女子の先頭に立った。同じ佐倉ACで練習する新谷を置き去りにし、そのまま優勝を飾った。「初マラソンで不安があった。後半、足が重くなったけど最後まで走り切れて良かった。まず小出監督にありがとうと言いたい」と、話した。

 今夏、急に小出氏からマラソン出場の声が掛かり、「お前が優勝するよ」と送り出された。体は日本女子11歳の平均身長(146・9センチ)にも及ばず、3週間前には厳しい練習で体重が31キロから28キロに落ちた。だが、ストライドは大きく力強い。暑さ対策にゼッケンに穴をあけて走った。「できる限り、あけまくりました」と笑う姿は、小学生のような無邪気さだった。