<フィギュアスケート:グランプリシリーズ第6戦・ロシア杯>◇最終日◇27日◇モスクワ

 日本男子最年少のGP優勝を飾った16歳の羽生結弦(ゆづる=東北高)が緊張のエキシビションをこなした。前日のフリーで、2位のハビエル・フェルナンデス(スペイン)をわずか0・03点上回ってGP初優勝。エキシビションでは女子優勝の浅田真央(21=中京大)の隣でガチガチになった。それでも初出場するGPファイナル(12月8日開幕、カナダ・ケベック)で、4回転ジャンプを確実に跳ぶと誓った。

 羽生は一夜明けても、優勝の実感が湧かなかった。エキシビションでは男子の最後で登場。カナダのポップ歌手ジャスティン・ビーバーの曲に乗って、軽快に演じた。全体では女子優勝の浅田とペアを組み「いつもテレビで見ていた真央ちゃんとアベック優勝なんて、今でも信じ難い。なんでオレ、ここにいるんだろう」。それでも表情は、どこかにやけていた。

 前日のフリーは4回転ジャンプで転倒したものの、後半、とっさに2回転ループを組み込み、フェルナンデスを0・03点差でかわした。表彰式後は阿部コーチの首に金メダルをかけた。「自分1人の力ではここまで来れなかった。震災を受けて宮城、日本の温かさ、たくさんの人に支えられたと、あらためて感じたので」。ファイナル出場を決めて「ショートプログラムとフリー、どちらかは4回転ジャンプを絶対に降りたい」。17歳で迎える最初の試合に思いをはせた。