<フィギュアスケート:4大陸選手権>◇第3日◇14日◇韓国・ソウル◇男子フリー

 初出場の宇野昌磨(17=中京大中京高)が表彰台を逃した。ショートプログラム(SP)2位から最年少優勝を狙ったフリーでは、4回転ジャンプなどでミスして167・55点。合計256・45点で5位に終わった。SPも含めて自己ベスト更新も、悔し涙を流した。

 宇野は悔しさに肩を震わせた。演技直後のインタビュー。丸めたティッシュであふれる涙をぬぐい、正直な言葉を続けた。「まあ…、なんとか、最後までやりきれてよかったです。何のために練習してきたのか、という気持ちと両方あります」「練習してきたことができない無力さ、悲しさがあった」。SP、フリー、合計点とも自己記録を塗り替えた喜びはない。韓国でのシニア国際大会デビュー戦は、17歳にとって壁となった。

 映画「ドンファン」のメロディーに乗り、158センチの小柄を感じさせないダイナミックな演技をみせてきた今季のフリー。この日は冒頭からつまずいた。4回転トーループで手をつくと、流れを悪くした。安定感抜群だった後半に用意した連続ジャンプでは、3回転フリップで尻もちをつく転倒と乱れた。

 今季はジュニアグランプリ(GP)ファイナル初優勝、昨年12月の全日本選手権では羽生に続く2位と躍進した。一気に注目度も増し、12日のSPでも世界の強豪を相手に2位とインパクトを残した。ただ、本人は「こっちに来てから調子がどんどん落ちていって」と感じていた。関係者によると大会前から脚を痛め、服用する鎮痛剤も増えていたという。

 「次はまともな演技ができるようにしたい」。目を赤くしながら、最後は前を向いた。次の舞台は昨年5位に敗れた世界ジュニア選手権(3月、エストニア)。経験をバネにして、10年の羽生以来となる日本人王者を狙う。