阪神は9日からの巨人3連戦になんとしても勝ち越したい。最大8ゲーム差だった相手に2・5ゲーム差まで迫られた。リーグ戦再開後の直接対決は1勝2敗だったから、前半戦最終となる今回は引き離しておきたいものだ。

その首位争いを前にヤクルトにカード勝ち越しを決めたのは良かった。この日も終盤にもつれたが、8回の大山から“ここ”という場面で勝ち越しの3点本塁打が飛び出した。チームにとって、本人にとっても最高の結果になった。

ヤクルト清水の初球フォークを空振り、2球目も同じ球を見逃した。1-1になった時点で、ヤクルトバッテリーは大山が変化球を待っているのを察したかのようだった。そこで3球目にストレートを投じたのが高めに浮いた。

調子が上がってこない大山の打撃は、なかなか引っ張ることができないだろうとみていた。ホームランも決して会心ではない。ヤクルトバッテリーとの駆け引きの中で、直球が外角の高めに浮いたので右方向に長打を放つことができた。

ただ負けられない一戦で自らのバットで勝負を決めることができたから最高の気分だろう。このホームランでつかんだ好感触を、9日からの巨人戦に持ち込んで、さらに調子を上げていくきっかけにしてほしいものだ。

また8回は岩崎が山田に左越え2ランを浴びて1点差になった。これでリーグ戦再開後は6試合に登板し、3試合に失点。悪天候だったことを差し引いても本来のボールのキレを欠いた。巨人戦はお互い継投もポイントになるから粘り強く戦いたい。(日刊スポーツ評論家)

ヤクルト対阪神 8回表阪神2死二、三塁、3点本塁打を放っちガッツポーズを決める大山(撮影・たえ見朱実)
ヤクルト対阪神 8回表阪神2死二、三塁、3点本塁打を放っちガッツポーズを決める大山(撮影・たえ見朱実)