日本ハム清宮幸太郎内野手(22)が、前夜の悔しさを払拭(ふっしょく)する1発を放った。1点リードの4回の先頭、フルカウントからの6球目、本前の直球系142キロをすくい上げて右越え2号ソロ。開幕2戦目の3月26日ソフトバンク戦以来のアーチを架けた。もがき苦しむ清宮の打撃を日刊スポーツ評論家の和田一浩氏はどう見たのだろうか。

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前日の試合で代打出場し、結果を出せなかった清宮をスタメンの4番に起用した。新庄監督の期待に応えるように、4回裏には今季2号ソロ。チームも2勝目を飾った。

これが本来の“主砲の1発”であれば手放しで祝福できるのだが、果たしてそうだろうか? 今試合での打席内容を見る限り、そうは思えなかった。

初球が外角高めの真っすぐを見逃しストライク。2球目は外角低めのスライダーがボール。3球目は真ん中低めのスライダーがボール。4球目はカーブのすっぽ抜けがボール。5球目がど真ん中のスライダーを見逃しストライク。そして6球目の真ん中低めの真っすぐを右翼スタンドにホームランした。

悔やまれる配球になった。カウント3-1からのど真ん中のスライダーには、体をピクつかせていた。明らかに真っすぐを意識していと思うが、捕手が打者の動きを見ていなかったのだろう。四球を出すよりは詰まらせて打ち取りたいという単純な配球だった。

第1打席でも真っすぐ勝負だった。初回2死三塁からの変化球のボールが2球続いた後、低めの真っすぐを打ってセンターフライ。どちらの打席も打者が有利の状況で、どちらもみえみえの真っすぐ勝負。2度目のチャンスでしっかりと捕らえたことは評価するが、相手バッテリーのミスリードであり、少し清宮を見くびっていた配球だった。

相手チームは、まだ4番打者として想定していないのだろう。確かに現時点では「読み」が当たったときにしか打てる気配がしない。せめて真っすぐを待っているときでも、変化球の甘い球は逃さないで打てる技術は養ってほしい。

そのためには、スタメン起用を続けること。清宮に限ったことではないが、今試合前まで日本ハムの打者で規定打席に達しているのは近藤、ヌニエス、石井の3人だけ。他球団はソフトバンク、西武が7人で、楽天、ロッテ、オリックスが5人いる。

打順によって、相手の攻め方は違ってくる。選手の能力や特性も違う。

適材適所を探る意味でいろいろな打順を打たせる方法もあるが、選手の特性や能力を考慮し、持ち味が生きてくるような起用法を考えて続けていかなければ育つものも育たなくなる。

どんな起用法でもレギュラーや主力選手にのし上がってくる選手もいるが、そんな選手は少数だと思う。

特に清宮のような長距離砲タイプは、育成に時間がかかる。4打席を与えて1本の長打が打てる指導をする。そのためにはスタメン起用しなければいけない。

これは私の個人的な意見だが、今の清宮の技術なら4番ではなく、6番か7番あたりで起用し「本物になってきたかな」というときにクリーンアップに起用した方がいいと思う。

第3打席は膝元のスライダーを空振り三振したが、第4打席は内角154キロの真っすぐをセンターフライにしたスイングはそれほど悪くなかった。4番か代打かという極端な起用法ではなく、じっくりと育ててみたらどうだろうか?(日刊スポーツ評論家)

日本ハム対ロッテ 4回裏日本ハム無死、右越え本塁打を放ちベンチを指さす清宮(撮影・黒川智章)
日本ハム対ロッテ 4回裏日本ハム無死、右越え本塁打を放ちベンチを指さす清宮(撮影・黒川智章)