チャンスを迎え、どういうバッティングをするのか? そういう場面で、選手の能力を判断する基準にもなる。今試合、中日の先発・梅津のピッチングは素晴らしかったが、5回にセカンドのエラーで走者が出たぐらいから球が上ずりだした。特に6回の巨人の攻撃は2番からで、打線も3巡目。無死一、三塁、4番・岡本和の真価が問われる打席だった。
中日の内野はゲッツーシフト。内野ゴロで1点を与えるのは仕方ないという考えで、状況から見ても正しい判断だったと思う。そこでバッターはどう考えて打席に挑むか? ゴロを打っても、フライを上げても外野まで飛ばせば先制点が入る。言うまでもなく、一番いけないのは三振。追い込まれるまで狙い球を絞り、どういうバッティングをするのかが重要だった。
初球の外角ストレートを見逃しストライク。犠牲フライになりやすい外角球を逆方向に狙う考えがあれば手を出してもいいが、一塁ゴロだとホームに送球されてアウトになる可能性がある。狙い球は犠牲フライになりやすい高めに浮いた球か、ゲッツーでも確実に1点が入るセンター方向に打ちやすい球だったと思う。
次の球は見逃せばボールになる可能性があった高めの真っすぐを強振。ボールの上っ面をたたき、二遊間を鋭いゴロが抜けていく先制タイムリーになった。打球が上がれば犠牲フライだし、ゴロでも1点が入るコースに狙いを絞っていた。こうして改めて説明すると簡単そうだが、ワンストライクを取られた後であり、追い込まれて三振だけは避けたいという状況で、しっかりと狙い球を絞り、自分が考えていた通りのバッティングを実践。ここ一番で「さすが4番」というバッティングだった。
1点差になった8回も、岡本和は先頭打者で、カウント1ボールから150キロの低めの真っすぐを左翼線へ二塁打。長距離砲の本領を発揮した。
頼もしい主砲の姿は、他の打者の手本にもなる。8回無死三塁となって、大城卓は3ボールから真ん中の真っすぐを打ってレフトへの犠牲フライ。派手さはないが、接戦でやるべきことをしっかりとこなして3得点で勝利した。
井上を5回で降板させる執念の継投策も成功した。優勝まであと1歩に迫る、見事な勝利だった。(日刊スポーツ評論家)




