トレードでロッテに移籍することになり、チームメートの前で涙を浮かべながら挨拶をする岡大海(2018年7月27日撮影)
トレードでロッテに移籍することになり、チームメートの前で涙を浮かべながら挨拶をする岡大海(2018年7月27日撮影)

 大号泣の門出だった。7月26日。日本ハム岡大海外野手が、交換トレードでロッテへの移籍が決まった。

 翌27日には札幌ドームを訪れ、チームへ別れのあいさつ。同期入団の浦野は「口元がふるえていた」と、涙を必死にこらえていたようだった。その後の報道陣への取材。せきを切ったように泣き始めた。「力のなさを、すごく思いました」と、必死に言葉を振り絞っていた。

 移籍前の時点で、出場28試合で打率1割5分4厘。故障離脱した大田泰示に代わって昇格していたが、外野の定位置争いに加わりきれずにいた。高い身体能力とパンチ力ある打撃が持ち味ながら、不振の年が続き、今季で5年目。新天地で再スタートするチャンスがやってきた。ロッテでも、レギュラー奪取が最初の関門。悔しさを力に、悲願をかなえてほしい。

 古巣との最初の対戦になった、7月31日。照れくさそうに、元同僚へあいさつ回りしていた。「覚えなきゃいけないことが、たくさんあるんです」。慌ただしく行程をこなす様子に、プロ1年目の姿が去来した。か細い声で、線の細さがより際立っていた。「太くしないといけない」と言いながら、胃腸が弱く偏食気味。どこか放っておけず、周囲は手を差し出さずにはいられない。岡は、本当に愛されてきた。

 泣き顔も、岡の特長の1つ。日本一になった16年オリックス戦。適時失策を犯し、ベンチで涙。ケガをして、悔し泣きしていたこともあった。そして今回の別れの涙。明大の大先輩でもあるロッテ鳥越ヘッドコーチは「あんなに泣いたらアカンやろ」と、ややあきれ顔も「優しい子やからなあ」と、どこか納得していた。

 岡は「野球以外のことに関心がないから、野球している時だけ怒ったり泣いたりするのかもしれません」と笑っていた。日本ハムでは、悔し涙ばかり流していた。今度は人懐っこい笑顔とともに、活躍する姿を見せてほしい。【日本ハム担当 田中彩友美】

試合前、日本ハム栗山英樹監督(右)にあいさつするロッテ岡大海(2018年7月31日撮影)
試合前、日本ハム栗山英樹監督(右)にあいさつするロッテ岡大海(2018年7月31日撮影)