<SMBC日本シリーズ2020:ソフトバンク4-1巨人>◇第4戦◇25日◇ペイペイドーム

もう「鷹の時代」と言っていいだろう。2年連続、日本シリーズで巨人を倒した。それもまた、一気の4連勝。不滅といわれた巨人V9を超える「V10」を目標に掲げるソフトバンクは、平成から令和の時代をまたぎ「王者」に君臨した。

ホークスが福岡に羽を下ろして32シーズンが終わった。苦難の船出から年を経るごとにチームは力をつけた。リーグ初優勝が移転11年目の99年。「リーグは6球団しかないから6年に1度は優勝してもらわんと」。ダイエー時代、先代の中内功オーナー(故人)はBクラスに低迷し続けるチームをそう言って揶揄(やゆ)した。球団に「同好会は終わった」という横断幕を送りつけ、キャンプ地に張り出せと指示したこともあった。何とも懐かしい思い出だ。

新世紀に入ってからは「常勝軍団」と呼ぶにふさわしい戦いぶりだ。この20年間でリーグV7度、日本一8度。編成費は、青天井といわれる豊富な資金力もあってチームを強化。選手層の厚さは紛れもなく、12球団一だろう。涙をのんだ巨人同様に「必勝」を義務づけられ、結果を出し続けている。

昭和の時代は「巨人 大鵬 卵焼き」と言われ、ダイエー初V時には、中内オーナーも心を躍らせ「これからは 『ダイエー 曙 ハンバーガー』ですな」と言った。さて、令和新時代は何と呼ぼう。世界が新型コロナウイルスに侵されて、苦難の1年となった。球界も3カ月遅れの開幕となった。経営的にも痛打され、ホークスも今年は約100億円の赤字を覚悟しなければならない。球団事務所は職員の机も半減させ、在宅勤務との苦肉のシフトで乗り切った。

日本一のコバルトブルーのチャンピオンフラッグが何とも誇らしい。「非日常」が日常となった今、ホークスにはさらに強きチームを目指してもらいたい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

99年、ダイエーが球団創設11年目にして優勝。試合後、王貞治監督(左)からウイニングボールを受け取った中内功オーナー
99年、ダイエーが球団創設11年目にして優勝。試合後、王貞治監督(左)からウイニングボールを受け取った中内功オーナー